ウイルス感染が発覚後の3月27日に入院、退院後の4月23日の記者会見では「会食は非常に軽率だった」と深く反省した姿を見せた。その後、練習を再開し、順調な仕上がりをみせていた中での練習遅刻。しかもこれが初めてではなかったというから穏やかには済まない。謝罪会見からわずか1カ月での愚行に、周囲も言葉を失った。

阪神、藤浪くん……。けっこう期待してるんだけど…」と上原浩治氏(元巨人ほか)がツイッターに投稿したのもうなずける。

 また時期を同じくジャニーズ事務所所属タレント・手越祐也が芸能活動自粛となった。緊急事態宣言下、女性らと飲み会をおこなっていたことなどが大きな理由。「藤浪がやっていることは似たり寄ったり。同じ穴のムジナ」とネットを中心に話題となっているほどだ。

 まさに四面楚歌の状況であるが、冒頭のようにMLB関係者は藤浪にラブコールを送る。

「才能があるのは間違いない。環境が本人のそれを阻害している部分もある。例えばイップスに関しては、日本では何をやっても改善が見えなかった。米国で時間をかけて修正しても良い。技術的なものか、精神的なものか。米国ならばやる気があって、可能性がある選手にならば環境はいくらでも準備できる。例えるならトミー・ジョン手術だと考えれば良い。仮にイップス修正に2年かかっても、藤浪はまだ28歳で投手として先が残されている」(前出のMLBアジア地区担当スカウト)

 側副靱帯再建術『トミー・ジョン手術』は米国において、投手を中心におこなわれている。一般的に術後18カ月程度で故障前と同レベル、もしくはそれ以上の回復が見込めるとされる。時間を費やしても根本から修正するという考え方だ。

 また日米のスポーツ事情に詳しいスポーツライターは「現在の社会情勢が藤浪獲得の追い風になる」とも語る。

「日本人投手への評価が高いのに加え、阪神のエース格ならばブランド力はすごい。加えてコロナウイルス禍でMLB各球団が経営難に悩まされている。人件費節約は最重要事項で、年俸カットなどの話題も出ており、これからの契約交渉は大荒れが予想される。MLB傘下のマイナーリーガーも軒並みクビになっているほど。各チームとも編成に苦労している中で、藤浪を格安で獲得できるならこれほど良いことはない。数千万円なら手を挙げる球団はたくさんあるはず」

 今季年俸は6300万円(推定)と言われているが、減俸なども受け入れることができればメジャー挑戦も実現味を帯びてくる。

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メジャーには頼れる先輩も?