【鴻上さんの答え】
 ゆかりさん。そうですか。「夜眠れずに悩んでいることもしばしば」ですか。でも、僕は、ゆかりさんの「私自身は、自分の決めた道ですので、世間から何をいわれても目の前のことに誠実にひたすら精進してゆくのみである」という文章に感動しました。こんな言葉を書けるゆかりさんなら、きっと息子さんとうまくやっていけると感じます。

 さて、僕なら、いつごろ、どう説明するか、ですね。

 まず、幼い時の説明と、物心がついて考えることができるようになった時の説明と、思春期の説明と、そして大人になった時の説明は変えると思います。

 それは、ゆっくりゆっくりと、その時その時に合った言い方で事情を説明することがいいと思っているからです。

 また、息子さんのタイプによっても変えると思います。

 幼い時から大人びていろいろと神経質に考えるタイプと、天真爛漫(らんまん)でノンキな性格では説明も違ってくるだろうと思うからです。

 幼い時は、聞かれない限り、事情を説明する必要はないと思います。

 もし、「どうしてパパは家にいないの?」と聞かれて、息子さんが天真爛漫なら、「パパは仕事で忙しいから、家にいられないの」と答えることで納得するんじゃないかと思います。

 基本的に嘘をつくことは避けたいと思いますが、幼くて天真爛漫な子供に「大人の事情」を説明する必要はないと思います。しても理解できないでしょうしね。

 でも、幼い時から大人びていて、この答え方に満足できない様子だった場合は、「ママとパパは仲良くできなかったので、別々に住んでいるの」と言います。「でも、ママもパパもあなたのことが大好きなのよ」と付け加えながら。「どんなふうに生まれたか?」については、何も言いません。まだその時期ではないと思います。

 物心つく頃、小学生の3、4年でしょうか(人によって違うでしょう)。この時に、「どうしてパパは一緒に住んでないの?」と聞かれたら、「ママとパパは仲良くできなかったので、別々に住んでいるの。そうすると、お互いがケンカをしなくてよくなったの」という説明をします。

次のページ
子どもからの問いかけに、やってはいけないこととは…