■賃金が支払われないまま会社が倒産! そんなときの保障は?


 
 現在、国や自治体は、雇用を持続させるため企業への数々の保障や支援制度を打ち出しています。ただ、残念ではありますが特に中小企業では、急激な環境の変化に運転資金が枯渇し、給与を支払えないまま倒産ということもあり得ます。そんな場合は、中小企業を対象とした「未払賃金立替払制度」を活用すれば、労働者健康安全機構が未払い金の一部を立て替えてくれます。

 適用される条件は、1年以上その企業に勤務していたことと、企業が裁判所に倒産の申し立てを行った6カ月前から2年の間(倒産後1年半まで)に退職したことです。
 
 これを利用すれば、未払い賃金の80%が立て替えられます。ただし以下の上限があります。

退職日における年齢/立替払限度額
30歳未満/88万円
30歳以上45歳未満/176万円
45歳以上/296万円
※役員報酬や賞与などは立て替え払いされない

 今回の新型コロナウイルス対策だけでなく、日本にはすばらしい、そして、利用できる、活用しなければならないもったいない社会保障がたくさんあります。賢く、冷静に保障を活用すれば、生活を安定させる一助となります。

 ただ悲観するだけではなく、将来を考える策を考えていきましょう。次回もそんな社会保障について解説していきたいと思います。

(構成・橋本明)

※本連載シリーズは、手続き内容を分かりやすくお伝えするため、ポイントを絞り編集してます。一部説明を簡略化している点についてはご了承ください。また、令和2年5月7日時点での内容となっています。

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小泉正典

小泉正典

小泉正典(こいずみ・まさのり)/特定社会保険労務士。1971年、栃木県生まれ。明星大学人文学部経済学科卒。社会保険労務士小泉事務所代表、一般社団法人SRアップ21理事長・東京会会長。専門分野は、労働・社会保険制度全般および社員がイキイキと働きやすい職場づくりコンサルティング。『社会保障一覧表』(アントレックス)シリーズは累計55万部のベストセラー

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