しかし、日本語の読み書きもまだ不十分な幼い子どもに対して、どのようにプログラムを学ばせるのか。プログラムというとキーボードを叩く姿をまず想像しがちだが、どうやらここからして違うらしい。大木さんがこう補足する。

「『Scratch(スクラッチ)』という、マウス操作だけでできる無料のプログラミング言語から始めます。これによりプログラミングに必要な数的・論理的処理の仕方がキーボード操作なしでも学べるようになっていて、基本はこの言語でプログラムに必要な考え方を習得していきます」

 教室では「スクラッチ」だけで3つのコースレベルに分かれていて、これだけで小学生から中学生を通じて学べるカリキュラムになっている。「スクラッチ」だけでも、画像を画面上で動かしたり音楽を鳴らしたりして、例えばデジタル絵本を作るといったオリジナルの作品造りが可能だ。

 さらに高度なプログラミングを求める児童を中心に、小学校中学年以降を主な対象に「ロボットプログラミング」のコース。主に高学年対象に「Python(パイソン)」と呼ばれるキーボード操作のプログラミングが学べる「テキストプログラミング」コースも開設されている。

「ロボットプログラミング」コースでは、「レゴブロック」で知られるレゴ社の教材教育用ロボットを用いて、これまで「スクラッチ」で学んできたプログラミングの原理原則を活用し実際にどのようにモノを動かせるかという実践に重点を置く。

 例えば、ある決められたルートをロボットに走らせる際、図形的にロボットを動かす向きと速さと時間に基づいてプログラムしたり、あるいは関数的な数式でプログラムしたりなど、様々な解法がある。こうした試行錯誤をロボットという実体を通じて学べるのがロボットプログラミングの特徴だ。

「テキストプログラミング」コースでは、小学校中学年から英語の授業が始まるのに合わせ、日本語ローマ字入力やアルファベットのタイピング練習をしながら、キーボード操作による本格的なプログラミングの習熟に努める。プログラムを通じて、ゲームやWEBシステムなどのアプリケーションの開発を一から目指していく狙いがある。

 いずれのコースも、ただ単に習って終わるのではなく、学んで完成させたものを発表する場が半1年に一回設けられており、プログラミングのスキルだけでなく、プレゼンの能力も養えるようになっている。

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