また、事務所が大変だからといって、独立することが正解だとも限らない。芸能界でも日本社会でも、組織への帰属意識の高さはまだまだ尊ばれるからだ。

 たとえば、イエローキャブが分裂した際、多くのタレントが創業者について出て行ったなか、残留したのが小池栄子だった。SMAPの解散においても、当初は木村拓哉が悪者扱いされたが、なんだかんだ言って復権を果たしている。残りものには福、というケースも珍しくないのだ。

 とはいえ、それも今後よい仕事ができるかどうかにかかっている。実際、不倫という致命的なことをやらかし、あれほどたたかれたベッキーだって、今年公開の映画「初恋」ではその怪演が評価された。ちなみに、彼女もどん底の時期を時代劇「くノ一忍法帖 蛍火」(BSテレ東)でしのいでいたものだ。時代劇はスキャンダルタレントを救う、のかもしれない。

 剛力は来年公開予定の映画「お終活 熟春!人生、百年時代の過ごし方」の現場でも積極的な取り組みをみせているという。ゴリ押しとも呼ばれたブレークから8年、はたして、世間からしぜんに推されるときは来るのだろうか。

宝泉薫(ほうせん・かおる)/1964年生まれ。早稲田大学第一文学部除籍後、ミニコミ誌『よい子の歌謡曲』発行人を経て『週刊明星』『宝島30』『テレビブロス』などに執筆する。著書に『平成の死 追悼は生きる糧』『平成「一発屋」見聞録』『文春ムック あのアイドルがなぜヌードに』など

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宝泉薫

宝泉薫

1964年生まれ。早稲田大学第一文学部除籍後、ミニコミ誌『よい子の歌謡曲』発行人を経て『週刊明星』『宝島30』『テレビブロス』などに執筆する。著書に『平成の死 追悼は生きる糧』『平成「一発屋」見聞録』『文春ムック あのアイドルがなぜヌードに』など

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