ゲーリーの救世主となった落合は、FA移籍後の巨人でも、95年に来日した現役バリバリのメジャーリーガー・マックに打撃を教えている。

 マックはメジャー通算794試合に出場し、打率2割9分9厘、71本塁打、352打点の実力者。フェンス激突を恐れることなく、果敢にダイビングキャッチするなど、常に全力プレーでファンを魅了した。

 そんなマックが、この年41歳ながら首位打者争いを繰り広げた落合に感銘。メジャーのプライドにとらわれることなく、打撃に関する質問を熱心にぶつけ、日本の野球に適応しようと努力した。

 1年目は主に1番打者として打率2割7分5厘、20本塁打、52打点。2年目の96年は、シーズン終盤に死球による骨折で離脱した落合に代わって4番を務め、リーグ優勝を決めた10月6日の中日戦で決勝3ランを放つなど、2割9分3厘、22本塁打、75打点の好成績を挙げた。

 だが、球団は2年総額8億円(推定)の高年俸を理由に同年限りで契約を打ち切った。落合は「なぜ契約延長しなかったんだ?」と残念がったという。

 その落合も同年オフ、西武・清原和博のFA移籍に伴い、日本ハムに移籍するが、ここでも好不調の波が激しい新外国人・ウィルソンに「もっと体を起こせ」と助言し、2年連続本塁打王をアシストしている。

 昨春のキャンプで、助っ人2人を指導したことで注目を集めたのが、阪神・糸井嘉男だ。

 前年途中に入団したナバーロと新助っ人のマルテから通訳を介して「バッティングを教えてほしい」と依頼され、“元メジャーリーガー2人が弟子入り”と報じられた。

 マルテは「バッティングの違いとか、いろんな人が思っていることがある。自分たちを助けるという意味で、お互いアドバイスしていたよ」と説明。ナバーロも「糸井さんは実績のある方で、素晴らしい打撃をしている。打席の中でどういうアプローチをしているのか聞きたかった」とコメントした。

 当の糸井は「まさか外国人選手が『糸井さん、打撃でどこを意識してるの』と聞いてくるなんて思わんよ。そんなん初めての経験やで」と目を白黒させながらも、スマートフォンの映像を参考にしながら、活発に意見交換を行った。

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