「親の命と仕事、どちらが大切なんですか?」 医師の心ない言葉に患者は… (2/3) 〈dot.〉|AERA dot. (アエラドット)

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「親の命と仕事、どちらが大切なんですか?」 医師の心ない言葉に患者は…

連載「現役皮膚科医がつづる “患者さんと一緒に考えたいこと、伝えたいこと”」

大塚篤司dot.#ヘルス
大塚篤司(おおつか・あつし)/1976年生まれ。千葉県出身。医師・医学博士。2003年信州大学医学部卒業。2012年チューリッヒ大学病院客員研究員を経て2017年より京都大学医学部特定准教授。皮膚科専門医

大塚篤司(おおつか・あつし)/1976年生まれ。千葉県出身。医師・医学博士。2003年信州大学医学部卒業。2012年チューリッヒ大学病院客員研究員を経て2017年より京都大学医学部特定准教授。皮膚科専門医

※写真はイメージです(写真/Getty Images)

※写真はイメージです(写真/Getty Images)

 病院から電話をもらった白河さんは、仕事を途中で離れ、東京から群馬に向かいました。ひととおりの病状説明を医師から受けた後、彼女は選択を迫られます。

「開頭手術をするのかしないのか、今すぐに決めてください」

 父親の突然のがん宣告に驚いた矢先に、命を決める大事な選択を迫られる……白河さんは悩みました。思わず医師にこう尋ねます。

「手術をすれば、父親の認知症はよくなるのでしょうか?」「開頭手術をすれば、腫瘍をすべて取り除けるのですか?」「82歳の体力で、この手術に耐えらますか?」「手術をするのとしないのとでは、寿命に差がでますか?」

 娘としての心配を主治医にぶつけました。日常の診察ではよくある場面です。しかし、担当した医師の返答は思いもよらぬものでした。

「わかりません」「すべて取り除けるか、わかりません」「人によりけりです」「寿命なんて、誰にもわかりませんよ」

 そして、こう続けたそうです。

「手術をするならば、来週の水曜日なので、同席してください」

 手帳を見ると、大事な打ち合わせが3本入っていたため、

「仕事があるのでちょっと、無理かもしれません」

 と返事をすると、こう言われたそうです。

「父親の命と仕事、どちらを取るんですか」

 さて、あなたはどう思われたでしょうか? 医師の言葉が強すぎると感じませんでしたか?

 最近、大学の医学部受験でも面接試験が重要視されるようになりました。医療はチームワークが大切です。コ・メディカル(看護師や救急救命士、歯科衛生士など、医師や歯科医師の指示の下に業務を行う医療従事者のこと)の方々と連携を取り、患者さんのために最善の治療を目指す。そのためには、医師にはコミュニケーション能力が重要となります。

 私の外来でも治療の説明をすると、難しいケースではご家族の方から多くの心配と質問をいただきます。もちろん、すべてに自信を持って答えたいのですが、医療には不確かな部分も多いため明確な返答に困る場面があります。


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