安倍晋三首相は27日、全国の小中高校や特別支援学校に、3月2日から春休みにかけて、臨時休校を要請すると発表した。実際に休校するかは各自治体や学校の判断に委ねられる。インターネット上では<子供達がコロナウィルスは掛かってからでは遅すぎる>といった賛成の声が出る一方、学校関係者や保護者らの間では、早くも混乱が広がっている。

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 神奈川県のある公立中学校の校長は、「臨時休校は現場の声を聞いてから判断してほしかった」と嘆く。

「事前の通知はなく、私も今、報道を見て知りました。先ほどまで周辺の小中学校の校長で集まって、卒業式をどのように縮小するか、話し合いをしたばかり。あまりに急で、憤りを通り越して、ただただ驚いています」

 安倍首相の要請どおり休校となると、次の登校日は春休み明けの新年度ということになる。前出の校長は、このことにも頭を悩ませている。

「まだ学年末テストが終わったばかりで、通信簿の準備もできていません。卒業証書でさえ、先ほど準備したばかりです。準備期間が明日の1日しかないから、とにかく時間がない。何から手をつければいいのか。明日、生徒に『荷物を全部持って帰って』と言うことくらいしか決まっていません」

 東京都内の幼稚園関係者は、「報道が出てから電話が鳴り止まない」という。

「保護者から『幼稚園が預かってくれないと仕事に行けない』と言われましたが、返事ができなくて困っています。幼稚園も明日でお休みになる可能性もある」

 公立小学校に娘を通わせる母親は、こう話す。

「9歳と3歳の娘がいるので、親はどちらかが絶対に休まないといけない。会社には子どもが病気になった時の看護休暇はあるけど、病気ではないので使えない。年度末なので有給休暇もあまり残っていない。安倍首相の発表は、共働きの親にとって絶望的です」

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「子どもたちがかわいそう」