事件の犠牲者たちは、いずれも関根と関わりがあった。埼玉県警は当初から彼を疑っていたが、物証が見つからず翌年になっても捜査は進展しなかった。
アフリカケンネルの名目上の役員であったのが、中岡(仮名)である。結婚したばかりの妻が詐欺事件で逮捕されたことで、1994年11月、中岡は自ら埼玉県警に連絡し、任意の事情聴取に応じた。殺人を犯したのは関根と風間であること、群馬県片品村にある中岡の自宅で死体の処理が行われた、と自分も犯行の一部に関わったことを供述した。彼の案内で片品村の山林から、多数の骨粉や犠牲者のものであったロレックスなどが見つかった。
関根と風間は、年の明けた1995年1月5日に逮捕された。同じ日、中岡の妻は釈放された。
1月8日に逮捕された中岡は、2人とは別に裁判を受け、死体損壊・遺棄罪で3年の懲役に服した。
関根と風間は同じ法廷で裁かれた。そこに証人として招かれた中岡は、「博子さんは無実だと思います」「人も殺してないのに、何で死刑判決出んの?」「絶対、博子は殺してない。殺人に関しては100パーセント無罪ですよ。ただ、死体遺棄はやっているけど……。そういう人を、死刑にしてもいいもんですか」などと浦和地裁(現さいたま地裁)と東京高裁で述べ、殺人に関しては風間は無実だという主張をくり返した。
中岡の供述を元に2人は起訴されたのだが、それが覆されたのだ。それでも裁判所は、取り調べ時の中岡の供述が信用できるとして、風間に死刑の判決を下した。
風間は逮捕されて以来、一貫して殺人に関して否認している。ただし事件に関わってしまったことは認めている。
犬の売買でのトラブルを抱えていた山上(仮名)は、4月20日に殺害された。山上の乗ってきたアウディは、証拠隠滅のために、熊谷から車で1時間半ほどもかかる東京駅の八重洲地下駐車場に移動された。その際、風間は自分のクレフで中岡の運転するアウディについていき、帰りに中岡を乗せてきている。