ソフトバンク・田中正義 (c)朝日新聞社
ソフトバンク・田中正義 (c)朝日新聞社

 秋のドラフト会議を終え、才能豊かな原石たちが来季、プロの世界に飛び込むことになる。だが、彼らルーキーたちよりも活躍してもらわないと困る面々がいる。大きな期待を受けて入団しながらも2年、3年、あるいは4年、5年と2軍生活が長引いている逸材たち、「元ドラ1」たちのことである。

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 真っ先に名前が挙がるのが、2016年のドラフト1位で5球団が競合した田中正義(ソフトバンク)だろう。創価大進学後に頭角を現し、打者を圧倒する豪速球で「10年に一人の逸材」、「新人王間違いなし」、「球界を背負っていく大投手になる」と大きな期待を背負ったが、1年目から右肩違和感でリハビリ続き。2年目に中継ぎで1軍10試合に登板したが防御率8.56と結果を残せず、3年目の2019年も右肩痛で出遅れて結局は1軍登板1試合のみ。

 ここまでのプロ通算3年間で11試合0勝1敗、防御率8.16という期待とは裏腹な成績となっている。イップスの噂も流れたが、今オフのプエルトリコでのウインターリーグでは好投。ついに「ジャスティス」の名に恥じない投球を披露できるか。層が厚いソフトバンク投手陣の中では、勝負にして、背水の4年目になる。

 その田中と同じ2016年のドラフト組では、寺島成輝(ヤクルト)にもそろそろプロ初勝利が欲しい。履正社高のエースとして名を馳せ、U-18代表ではエース格として活躍。ヤクルトからドラフト1位指名を受けて「完成度が高い」、「1年目からでも活躍できる」とプロ入りしたが、1年目は春季キャンプから故障が重なり、ようやく8月に2軍戦で実戦初登板。2年目に2軍で20試合7勝5敗、防御率3.40と今後に期待を抱かせる成績を残したが、3年目の今季は2軍戦24試合で2勝1敗1セーブ、防御率4.57だった。

 1軍では3年間で通算5試合(先発2試合)0勝1敗、防御率12.00。高校時代に「ビッグ3」あるいは「ビッグ4」として肩を並べた今井達也(西武)、藤平尚真(楽天)、高橋昂也(広島)は、いずれもプロ初勝利を挙げているだけに、2020年こそ、結果を残してもらいたい。

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他にも活躍が待たれる「元ドラ1」