今でこそ節約系インスタグラマーとしてフォロワー13万人を誇るゆきこさんだが、アカウント開設当初は誰も見てくれない状態がしばらく続いた。

「仕事から戻って、空いた時間を利用して1週間に1、2回の更新を数カ月続けました。家計簿をつけたり、節約ネタを文章にして投稿していたのですが、『いいね!』は10件くればいいほう。1年たってもフォロワー数は2千人程度にしか増えず、途方に暮れました」 

 一般的に、インスタグラムを利用して広告収入を得るためには「最低でも1万人のフォロワーが必要」とされる。

「企業が商品のPRを依頼するときには、インスタグラマーの年齢や性別、これまでの投稿の内容や質などさまざまな要素が検討されますが、絶対的に必要なのはフォロワー数です。影響力の低いインスタグラマーに企業案件は舞い込みません」

 このままでは到底、収入源にはなりえない。ゆきこさんは本気でインスタグラムと向き合うことを決心する。人気のアカウントがフォロワーを惹きつけている理由を調べたら、独自の世界観があることがわかった。そのため、ゆきこさんも「周りとは違う世界観を作っていこう」と考え、それまで文字を中心に構成していた投稿は写真中心に変え、同じような境遇にある主婦から共感を得られるよう、あえて生活感をみせる方針に切り替えた。

「私もそうですが、主婦って他人のキッチンや食卓を見るのが大好きなんです。だから料理写真を撮影するときはダイニングテーブルの上で撮影し、キッチンも不自然に整理せず、ありのままの姿を写したりするようにしました。少し前に『インスタ映え』という言葉が流行りましたが、私の戦略は、いわば『インスタ萎え』です。生活感丸出しでキラキラさせず、現実路線でアカウントを運営していくことに決めました」

 大胆な方針転換が功を奏し、ゆきこさんは徐々にフォロワー数を増やしていく。アカウント開設から1年後の18年2月に2千人だったフォロワーは10月に5千人に到達。生活感をにおわせながらも、カラフルな文字で装飾された料理写真、そして貯蓄率などを大きく明記した家計簿の写真などがアカウントを彩るようになった。

次のページ