数年前には、シカゴのラジオ番組でこんな話もしている。エンゼルス時代にある投手の走力に目をつけ、投手と野手の両方で育てたいとGMに提案したが、却下されたという。来シーズンからマドンが起用する一人、大谷翔平が生まれる前のことだ。

 マドンは試合前のクラブハウスに意外なゲストを呼ぶことも多く、そのジャンルは、マジシャン、バンド、DJから、オウム、ペンギン、大蛇まで多岐にわたる。また、MLB.comが7年前に掲載した記事によると、審判に抗議している時に「あと一言でも発すれば退場だ」と警告されたマドンは、何度も「アイ・ラブ・ユー(愛してる)」と繰り返した。審判は退場させた理由について「報告書に何て書けばいいんだ」と困惑したという。

 エンゼルスでも、マドンはユーモアやウィットを織り交ぜながら、チームを率いていくだろう。ゴールはポストシーズン進出とその先のワールドチャンピオンだが、ただ勝つだけでなく、そこに至るまでの過程でも愉しませてくれそうだ。(文・宇根夏樹)