いずれの問題でもゴタゴタしてしまうのは、次のような共通項があるからだろう。

(1)受験生、選手のことを考えていない
(2)実施まで時間があったのに十分な調査をしなかった
(3)計画が場当たり的でずさんな面がある
(4)何が何でも実施ありきで突っ走る
(5)直前に不備が発覚しても言い繕う
(6)当事者やメディアから危なさや愚かさを指摘されても、根拠のない自信で乗りきろうとする
(7)主催者や役所のメンツを優先させる
(8)引き返す、変更するという発想を持たない
(9)危機管理システムが機能しない
(10)関連企業、スポンサーに遠慮する

 困ったことに、初志を貫くためにかなり無茶なロジックを展開してしまうのもよく似ている。

 まずは、東京五輪での小池百合子都知事の発言を見てみよう。11月1日、小池知事は記者に問われてこう答えている。

「準備をしていただいてきた、また心待ちにしてきた、100万人を超すであろうと思われる、例えば、マラソンの競技のところで、中には、沿道でよく見えるコーヒーショップとかお店屋さんを予約しておられた方、都の職員も、中にもそういう方いらっしゃるし、もっと言えば、それを見るためにマンションを買ったという人までいるんですね。一室を。そこの沿道が見えるからと」(東京都ウェブサイト)

 この発言では、選手よりもタワーマンション在住の高所得者ファーストと言われても仕方ない。

 続いて、英語民間試験での萩生田光一文科大臣の「身の丈」発言である。再現しよう。

「裕福な家庭の子が回数受けてウォーミングアップができるみたいなことは、もしかしたらあるかもしれないけれど、そこは自分の身の丈に合わせて2回をきちんと選んで勝負して頑張ってもらえれば。できるだけ近くに会場をつくれるように業者や団体の皆さんにお願いしています。だけど人生のうち自分の志で1回や2回は故郷から出て試験を受ける。そういう緊張感も大事かなと思うので」(「BSフジ LIVE プライムニュース」10月24日)

 図らずも英語民間試験の経済格差、地域格差という本質を突いてしまった。

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