ひざ関節を例に説明しましょう。ひざ関節はもともと、内転筋と内側ハムストリングスという2つの筋肉で守られています。この2つが正しく働けば、ひざに余分な負荷はかかりませんから、痛みもありません。

 しかし、内転筋は普段の生活では使われにくい筋肉です。年齢とともに弱り、サボリ筋になります。すると内側ハムストリングスが「内転筋のぶんも!」とガンバり始めるのですが、負荷がかかりすぎて疲弊し、かたくなります。こちらもサボり始めるのです。

 ももの内側の筋肉が両方ともサボると、今度はももの外側の筋肉が過剰に働くようになります。その結果、ももの筋肉は外側にひっぱられ、歩くときにおかしなクセがつきます。

 それがひざ関節の負担になり、炎症や痛みの原因になります。

 私は、関節を守るべき(なのに働かない)筋肉を「サボリ筋」、サボリ筋にかわって働くその他の筋肉を「ガンバリ筋」と呼んでいます。関トレは「サボリ筋」を鍛えなおし、筋力のアンバランスをなくすためのトレーニングなのです。

笹川大瑛(ささかわ・ひろひで)
一般社団法人日本身体運動科学研究所代表理事、教育学修士、理学療法士。病院、高校バレーボール部、スポーツ選手などのリハビリ担当を経た後、運動・トレーニング、姿勢改善のセミナーを開催。全国より医療従事者が集まるなど、支持を集める。