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阪神はなぜ勝負どころで勝てるのか…矢野監督が見せた巧みな“超積極采配”

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西尾典文dot.
阪神の矢野燿大監督 (c)朝日新聞社

阪神の矢野燿大監督 (c)朝日新聞社

 その経験が生きたのがファーストステージの第1戦だ。試合は先発の西が初回にいきなり5連打を浴び、しかも打球を左足に受けて1死もとれずに緊急降板となったが、その後を受けた守屋功輝、ガルシアが試合を作って終盤の大逆転に繋げたのだ。DeNAの継投失敗を指摘する声も多かったが、序盤に一気に崩れずに踏ん張ったことが大きかったことは間違いない。第3戦でも好投していた先発の高橋遥人を3回で降板させ、4回からは第1戦で打ち込まれた島本、6回からは第2戦でサヨナラホームランを浴びた岩崎を投入。岩崎は7回につかまったものの、後を受けたドリス、藤川が失点を許さずに僅差で逃げ切った。シーズン終盤からスクランブルで早め早めに動いてきた経験が、クライマックスシリーズでも生きた格好と言える。

 攻撃面では得点数はリーグ最下位、本塁打数もリーグ5位と得点力不足が課題だが、大きなストロングポイントがある。それが機動力だ。ルーキーながら盗塁王に輝いた近本光司の存在がクローズアップされているが、積極的に走る野球というのは矢野燿大監督が二軍監督時代から取り組んでいたことであり、それが今季のリーグトップとなる100盗塁という数字にも繋がっている。なかなか得点できなかった第3戦でも代走で出場した植田海が初球で盗塁を決め、それが決勝点に繋がった。

 もう一つは継投と同じく攻撃面でも積極的に動いたことである。第1戦でも陽川尚将、上本博紀、高山俊、木浪聖也を次々と送り出した代打陣がヒットを放ち、第2戦でも途中出場の上本が貴重なタイムリーを放っている。中軸に破壊力がないのであれば、野手全員で何とかしようという姿勢がよく見える戦いぶりだった。

 まとめると、投手はリリーフ陣、攻撃は機動力というシーズン中から培ってきた強みを生かしながら、短期決戦に向けてどちらもスクランブルで惜しげなく積極的に動いたことが良い結果に繋がったと言えるだろう。短期決戦は勢いが大事と言われるが、その勢いをチーム全体で生み出しているのが今の阪神ではないだろうか。

 2014年以来5年ぶりとなる日本シリーズ進出に向けて、ファイナルステージでも積極的に動き続けられるかどうかに注目だ。(文・西尾典文)

●プロフィール
西尾典文
1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行っている。ドラフト情報を研究する団体「プロアマ野球研究所(PABBlab)」主任研究員。


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