「防犯カメラが目視できるところに付いていないですよね。おまけに駐車できるスペースがあちこちに点在しています。不審者が待機できる場所が多数あります」

 オートキャンプ場では、決まった料金を受付で支払えば、キャンプ場の周辺で自由に駐車できる。加えて、周辺住民によると、受付をせずともキャンプ場の近くを車で通ることはできるようだ。

 美咲さんはキャンプ当日の午後3時40分ごろ、先に沢で遊んでいた子どもたちのもとへ一人で向かった。美咲さんが通ったと思われる道を梅本さんと歩いてみる。

 まず、キャンプ場の広場から出て50メートルほど歩くと、丁字路に差し掛かる。(写真(2))沢に向かうには、ここで左折する必要がある。県警によると、美咲さんが丁字路で沢の方向を向いた状態で立っているのを母親が見たのが最後の姿だという。沢に向かって歩き出せば、広場からはすぐに死角になる。

「沢に行くまでの途中に自販機がありますよね。あそこにあることで、仮に近くに人が1人で立っていても、違和感がない。その後ろには車が駐車できるスペースがあります。カメラも設置されていないので、犯罪を抑止するものがない。犯罪者にとってはターゲットを探すのに都合のいい場所だと言えると思います」(写真(3))

 自販機を左手に見ながら100メートルほど歩くと、沢にかかる橋がみえてきた。手前のわき道を下れば、先に遊んでいた子どもたちと合流できる。(写真(4))

「この道をこのまままっすぐ、車で走り抜けてください」

 どういうことか。梅本さんに促され、理由もわからないまま車に乗って道を進む。沢を通り過ぎると、昼間でも薄暗い林道がつづく。住宅が数軒あるものの、進むほどに人影はなくなっていった。(写真(5))

「仮に先ほどの自販機近くて犯人が待機していて、美咲さんを車に乗せてしまっていたらアウトです。人目もありませんし、チャイルドロックをしてしまえば出られません」

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