実際、堂安の定位置である右サイドには、パラグアイ戦後半からピッチに立った久保建英が控えている。45分間のプレーで5本のシュートを放ち、1本はクロスバー直撃という惜しいチャンスを作った18歳の新星がもたらしたインパクトは大きかった。

 彼もマジョルカ移籍直後で試合勘が不足していたため、出場15~20分頃から運動量と動きのキレが低下してしまったが、潜在能力の高さは誰が認めるところ。森保監督も「チームのオプションの1つになるプレーを見せてくれた」と絶賛しただけに、10日のミャンマー戦からスタートする2022年カタールワールドカップアジア予選での序列がどうなるか分からない。堂安も危機感を強めているのか、「久保をどう見たか」という報道陣の質問に「好きですね……」と苦笑を浮かべていた。

 久保のみならず、右サイド要員には、今年1月のベルギー移籍から着実に存在感を高め、9月からはUEFAチャンピオンズリーグ本戦にも参戦するゲンクの伊東純也、ロシアワールドカップでベスト16入りの変動力になった原口元気もいる。伊東は今回はケガのため大事を取って欠場し、原口も左サイドでプレーしたが、2人とも堂安と同等かそれ以上の仕事ができるタレントなのは間違いない。

「フォーカスすべきところは自分だけ。味方の選手とか誰かに矢印を向けるんじゃなくて、自分のことを考えてプレーしないといけないと思ってます」と堂安はライバルと自分を比べるのではなく、己のパフォーマンスを高めることに徹するつもりだ。果たしてミャンマー戦でもスタメンに名を連ねることができるのか。そこは指揮官の判断次第だろう。

 仮にミャンマー戦はこれまで通りの序列を維持できたとしても、8月末に移籍した新天地・PSVで出場機会を得られなければ、代表での立ち位置はより難しくなる。

 代表2年目に突入した21歳の若きMFは早くもキャリアの岐路に立たされている。この壁を乗り越られるか否か。全ては自身の決定力にかかっている。まずはメンタル面の克服とフィニッシュの冷静さを取り戻すところから始めるしかない。(文・元川悦子)