しかし、利き足で毎回ファーストタッチする癖を相手に分析されたのが響いたのか、そこからスランプに陥り、点が取れなくなってきた。準々決勝・ベトナム戦ではVAR判定で得たPKを自ら決めてチームを勝利に導いたが、全7試合中6試合に先発起用されながら、肝心なところで詰めの甘さを露呈。決勝でカタールに敗れたことも相まって、大ブレイクするには至らなかった。

 この挫折が当時所属していたフローニンゲンでのパフォーマンスにもマイナスに作用し、昨季後半戦は1ゴールに終わった。代表でもコンスタントに呼ばれながら、空回りが続き、停滞状態に突入してしまったのだ。

「オランダ2シーズン目だった去年は決め切るところで決められず、自分の課題が出た。試合を見返したら『自分で自分で』って行き過ぎていたシーンもあった。そういうプレーも大事だけど、周りから点を取らせてもらう動きも必要。その判断をもっと自分の中でクリアにできると思います」と堂安は自身の現状を客観的に分析していたが、そこを乗り越えれば、次のステップに一歩歩みを進められるはずだった。

 冒頭のGKとの1対1の決定機は絶好のチャンスだったのだが、またも焦って相手にシュートを当ててしまった。もちろん大迫の先制点をお膳立てするパス出し、南野の2点目の際に酒井宏樹がクロスに反応しDFのマークを引きつけたプレーなど、黒子の仕事はよくやっていたのだが、点が取れなければ評価されないのがアタッカーの宿命と言わざるを得ない。

「チームのためにいいプレーをしているだけでは評価されない。欧州では特にそう。結果が伴ってこないと。特にゴールですよね」と欧州10年目の長友も神妙な面持ちでコメントしたように、今の堂安は目に見えた数字が間違いなく足りない。

 アジアカップ以降、同じゴールの問題に直面していた南野がトンネルを抜けた分、どうしても見劣りしてしまう部分も否めない。若い選手は好不調の波があって当然だが、彼の場合は少し足踏み状態が長すぎる印象だ。「本田圭佑の後継者」と目された技巧派レフティは、このままだと「三銃士」と称される森保ジャパン2列目トリオから脱落してしまう恐れもゼロではない。

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ポジション争いのライバルには久保が…