昨年出版されたエッセイ本『今の私は』に、こんなエピソードが出てくる。デビュー直後、出待ちをしていたファンらと仲良くなったきっかけについての話だ。

「実は、彼らはもともと別のメンバーのファンで、私が加入したときは『後藤は気に入らない』と思っていたらしい。不良っぽいというか、生意気そうなところが。それが、握手会での私を見て、イメージが変わったという。なんだ、普通の子じゃないかと。そして、そのギャップが面白いと」

 ただ「普通の子」にもいろいろある。彼女の場合「ヤンキー」寄りの普通だった。小学校の頃から化粧に興味を抱き、モー娘。のオーディションを受けた中2の夏の時点では髪も金髪に染め、眉も剃り落としていた。

■弟はEE JAMPのユウキ

 そんな「普通のヤンキー」ぶりをわかりやすく代弁するかたちになったのが、実の弟だ。姉の縁でスカウトされ、2000年にEE JAMPのユウキとしてデビュー。「おっととっと夏だぜ!」などをヒットさせたが、友達と遊びたいという理由で仕事先から逃亡し、3ヶ月の謹慎処分を食らった。その後、復帰したものの、15歳での飲酒がバレたのを機に、クビになってしまう。さらに、2007年には工事現場から銅線を盗んでいたうえ暴行もしたことで捕まり、4年余り懲役に服した。

 2年前には、ネットTVの番組に出演。19歳でデキ婚した相手と3児をもうけたものの離婚し、別の相手と再婚したことや、入れ墨のイメージをよくしたいと思っていることなどを語っていたものだ。

 そんな弟と似た気質を彼女もそれなりに持っていそうなのだが、彼の存在はむしろその大物感を高めることになったかもしれない。家族の不祥事や不幸は一流芸能人にはありがちで、ある意味、ステイタスにもなるからだ。

■幼い頃に父を亡くし

 ゴマキは7歳のとき、父を亡くした。趣味のロッククライミングをやっていて、山で転落したのである。そして、24歳のときには母が他界。こちらは自宅3階からの転落で、自殺説もささやかれた。死の直前、近くの飲食店主はこんな姿を目にしたという。

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美空ひばりや安室奈美恵との違い