低コンテクストとは、言語における言外の意味が低い文化のこと。すべてを言語化して伝える文化のことで、たとえば英語やドイツ語、あるいは北欧圏などがそれに当たります。

 一方、高コンテクストとは、言外の含みが高い文化のことで、いわゆる「空気を読む」「忖度する」ことが高い文化のことです。日本は世界でももっとも高コン文化圏であり、アラブ文化圏も高コンとされています。

 たとえば「ぶぶ漬けでもどうどす?」といわれたら、「もう帰ったほうがいいのだな」と察するというのは高コン文化の極みですよね。

 こうした忖度文化圏に住む日本人が世界にむけて何かを発言しようとしたら、なるべく低コンテクストにして伝えることがカギとなります。

 安倍総理には、谷口智彦氏というスピーチライターがついていることも知られていますが、他人が書いた原稿をただ読むのではなく、自分自身の熱量をそえて聴衆を動かそうという目的を明確に持っていることが伺われます、

 アメリカ連邦議会でのスピーチでは、硫黄島で戦った元米海兵隊員と、栗林忠道大将の孫とに傍聴席にいてもらい、総理が2人に呼びかける演出も見られました。
見せ方に工夫をしている点で、スピーカーというより、パフォーマーに近いといえるでしょうか。

 スピーチひとつ行うのに相当の練習をしているのが伺われ、余計なボディーランゲージもなく、スピーチの完成度を上げています。

 ノンネイティブである日本人が世界にむけてスピーチする時のお手本といってよいでしょう。