まずスピーチに最も大切な要素のひとつに「聞き手視点」があります。スピーチは、自分の意見を主張する場だと捉えがちですが、実はそうではなく、聞き手の立場に立って、メッセージを組み立てることが大切なのです。自分の意見ばかり主張してしまうと、「オレがオレが」となり、聞き手の心は離れてしまいます。
トランプ大統領のスピーチはまさに、「オレがオレが」の自分視点スピーチであり、「オレオレ」スピーカーの典型です。
次に不必要な手の動きが、話の邪魔になっています。
もはやトランプスタイルにはなってしまっている点では、ブランディングとなっているのですが、プロスピーカーの視点からいうと、動きがメッセージの邪魔をしているのです。
口調も一本調子です。
ひとつ良い点を挙げるならば、小学生レベルのボキャブラリーを羅列しているため、メッセージがわかりやすく、ストレートに伝わりやすい、というところでしょう。
またすべてのメッセージが「しませんか?」あるいは「しましょう」という提言型ではなく、「~だ」という断言型で紡がれているため、洗脳力が高い。
何度も同じメッセージを繰り返すことで、支持者にはシンプルなメッセージが叩き混まれるという効果は高いでしょう。オレオレ型の洗脳スピーカーです。
ただしスピーチやプレゼンを上達させたい方は決してマネしないように。
「なるほど、ああやって身ぶりを大きくすればいいんだな」とカン違いして、大げさなアクションをいれたら、墓穴を掘ります。ムダな動きは削って下さい。一本調子も避けましょう。
<日本 安倍首相>
グローバルスタンダードな発信力を持つパフォーマー。
安倍総理の英語スピーチに限定していうならば、グローバルスタンダードを備えているといえます。
決して英語がうまいわけではないのにかかわらず「低コンテクスト」「簡潔・簡単・簡明」を兼ねそなえて、グローバルに伝わる規準を満たしているのです。