「見習いなさい。優しくないと人の上には立てないの。ああいう人だから皆さんから話が聞けるのね。愛されるって、そういうことね。ハートが違うの。母は何回もその話をしてくれました」

 黒柳さん、感激していた。「初めて伺ったわ。そうなの」。何度も言っていた。

 さりげなく黒柳さんを喜ばす山村さん。だけど、計算づくという感じは全くしなかった。これが山村さんの勤続の秘訣。品がよく、頭がよいのだ。

 ところで、山村さんのダイエットだが、調べてみた。ライザップではなく、たかの友梨だった。“たかの友梨”式・黄金5法則というものにより、3カ月でマイナス11.5キロ。156センチ61.1キロが、49.6キロになったそうだ。

「たかの友梨ビューディークリニック」のホームページでは、山村さんのダイエットが3月25日にニュースとしてアップされ、「ミステリーじゃない事実!! これは事件です!!」と見出しがおどっていた。

 そっかー、山村さん、3月には痩せていたのかー。ドラマでは見ていたが、全然気づかなかった。きっと撮影と放映との時差の関係で、まだ痩せた山村さんの演じる姿は目にしてないのだろう。

 というわけで、観て参りました、ナマの山村さん。三越劇場・六月花形新派公演「夜の蝶」。痩せたことを知らないままにチケットを買っていたのだが。

 昭和30年代前半の銀座を舞台に、山村さんは祇園から進出してきたお菊(篠井英介)が開いた店「おきく」の金庫番・お春を演じていた。「昔、国税庁に勤めてまして。葬儀社の事務員もしたことがあって、おやつばっかり食べてました」なんて台詞もあって、山村さん、楽しそうだった。

 もしかしたら「徹子の部屋」の時より、少し体重は増えていたかもしれない。だけどいいって、いいって、山村さん、別に40キロ台じゃなくっても、十分きれい。そんなふうに心でつぶやき、幕間には劇場隣の甘味処で、冷やし白玉しるこを食べた私であった。

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矢部万紀子

矢部万紀子

矢部万紀子(やべまきこ)/1961年三重県生まれ/横浜育ち。コラムニスト。1983年朝日新聞社に入社、宇都宮支局、学芸部を経て「AERA」、経済部、「週刊朝日」に所属。週刊朝日で担当した松本人志著『遺書』『松本』がミリオンセラーに。「AERA」編集長代理、書籍編集部長をつとめ、2011年退社。同年シニア女性誌「いきいき(現「ハルメク」)」編集長に。2017年に(株)ハルメクを退社、フリーに。著書に『朝ドラには働く女子の本音が詰まってる』『美智子さまという奇跡』『雅子さまの笑顔』。

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