森田麻里子(もりた・まりこ)/1987年生まれ。東京都出身。医師。2012年東京大学医学部医学科卒業。12年亀田総合病院にて初期研修を経て14年仙台厚生病院麻酔科。16年南相馬市立総合病院麻酔科に勤務。17年3月に第一子を出産。小児睡眠コンサルタント。Child Health Laboratory代表
森田麻里子(もりた・まりこ)/1987年生まれ。東京都出身。医師。2012年東京大学医学部医学科卒業。12年亀田総合病院にて初期研修を経て14年仙台厚生病院麻酔科。16年南相馬市立総合病院麻酔科に勤務。17年3月に第一子を出産。小児睡眠コンサルタント。Child Health Laboratory代表
(写真はイメージ/Gettyimages)
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 日々の生活のなかでちょっと気になる出来事やニュースを、2人の女性医師が医療や健康の面から解説するコラム「ちょっとだけ医見手帖」。今回は、自身も1児の母である森田麻里子医師が、「玄米のデメリット」について「医見」します。

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 子どもに自然な食事を食べさせたいと、食事に気を使っているママ・パパがとても増えています。大人でも玄米を食べることがちょっとした流行にもなっていて、お子さんに玄米を食べさせている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

 お子さんが玄米を消化できているようであれば、食べさせること自体はよいと思います。実際、食物繊維やビタミンB群など、栄養的なメリットもあります。我が家でも大人は玄米をメインで食べますし、息子も白米より玄米のほうが好きなので、よく食べています。野菜をなかなか食べてくれないので、親としては栄養面を少しでも補充できればという気持ちもあります。

 しかし、玄米など健康によさそうな食事について、メリットは知っていても、デメリットについて知っていらっしゃる方は少ないです。どんな食べ物であっても、メリットとデメリットは両方あります。玄米であっても、いくらでも食べたほうがよいというわけではなく、バランスが大切なのです。今回はその一つの例として、玄米のデメリットについてあえてお話したいと思います。

 そもそも米は、ヒ素が多く含まれている食材だということ、ご存知でしょうか。ヒ素の中でも、特に無機ヒ素という形のものに発がん性があると言われています。例えば農林水産省の2012年のデータによると、玄米1キログラム中に含まれる無機ヒ素は平均0.21ミリグラムで、精米した米では0.12ミリグラムでした。一方で他の食材を見てみると、1キログラムあたり小麦は0.009ミリグラム、大豆は0.008ミリグラムといった具合です。米に含まれる量は、小麦や大豆の10倍以上となっています。

 ヒ素の摂取源としては、昔は飲料水もありました。1950年代には、日本でも井戸水が汚染された地域があり、一部では1リットルあたり1000μgを超えていました。1959年から1992年までのデータを用いて、1000μgを超える汚染があった地域と、汚染が無かった地域を比べると、がんによる死亡率は4.8倍にもなっていたことがわかっています(※1)。WHOの定める水のヒ素基準は1リットルあたり10μg以下で、日本でも同じ基準が適用されていますから、現在は水については心配ありません。

 また、特に子どもはヒ素を解毒する力が弱く、影響を受けやすいと言われています。ヒ素は母乳にはあまり含まれませんが、胎盤は通過することがわかっています。

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森田麻里子

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森田麻里子(もりた・まりこ)/1987年生まれ。東京都出身。医師。2012年東京大学医学部医学科卒業。12年亀田総合病院にて初期研修を経て14年仙台厚生病院麻酔科。16年南相馬市立総合病院麻酔科に勤務。17年3月に第一子を出産し、19年9月より昭和大学病院附属東病院睡眠医療センターにて非常勤勤務。小児睡眠コンサルタント。Child Health Laboratory代表

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「ひじき」のヒ素にも要注意?