田村耕太郎さん
田村耕太郎さん

足を引きずり合うような完璧主義はもうやめよう ※写真はイメージです
足を引きずり合うような完璧主義はもうやめよう ※写真はイメージです

「アホとは戦うな。時間の無駄である」と提唱する、元政治家であり、現在はシンガポール・リークアンユー政治大学院で教鞭を執る田村耕太郎さん。しかし、シリーズ75万部を突破した著書『頭に来てもアホとは戦うな!』の読者からは、「それでも戦ってしまう……」と多くの悩みの声が寄せられているという。日々の仕事・暮らしの中で「アホ」に悩んでいるあなたに、ちょっとでも気持ちが楽になるヒントを田村さんが提案する連載「アホから解放される相談室」。今回は「完璧主義を求めすぎてしまうこと」について。

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【相談】

 近所のコンビニの店員の態度に腹が立っています。いつもけだるそうで、レジに行列ができてもチンタラ作業をしてイライラしています。何か買っても「ありがとう」も言いません。違うコンビニに行けばいいのですが、最寄りのコンビニがそこしかなく、行かざるを得ません。どうしたらイライラしなくなるでしょうか。

■人間だから、こんなもの

 日本人の多くは、お互いに完璧を求めすぎです。例えば、「時間」とか「ぶれなさ」とか、そんなことを求めているようです。

「時間」の使い方で言えば、日本人はアポイントの時間を非常に気にするのに、時間の使い方はルーズで、他人の時間をなんとも思っていない感じがします。

「ぶれなさ」もいいですが、この激変の時代、時には「朝令暮改」というより「朝令朝改」が必要な時もあります。素早く変化しないといけません。

 世界的には非常に安い時給で人をこき使いながら、なのに、「情熱」とか「態度」とか、付加価値を生み出すことにつながらない完璧さを求めがちです。

 だから、やたら労働時間がかかる割に生産性は低く、賃金も増えないのでしょう。
これまでは、日本は「同調圧力」を創り出すことによって、独自の立場を築けたと思いますが、この長所が21世紀には強烈な短所になってくると思います。
  
 かくいう”純ジャパ”の私も、日本にいる時間がかなり減って相当変わりました。

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田村耕太郎

田村耕太郎

田村 耕太郎(たむら・こうたろう)/国立シンガポール大学リー・クアンユー公共政策大学院兼任教授。ミルケン研究所シニアフェロー、インフォテリア(東証上場)取締役、データラマ社日本法人会長。日本にも二校ある世界最大のグローバル・インディアン・インターナショナル・スクールの顧問他、日、米、シンガポール、インド、香港等の企業のアドバイザーを務める。データ分析系を中心にシリコンバレーでエンジェル投資、中国のユニコーンベンチャーにも投資。元参議院議員。イェール大学大学院卒業。日本人政治家で初めてハーバードビジネススクールのケース(事例)の主人公となる。著書に『君は、こんなワクワクする世界を見ずに死ねるか!?』(マガジンハウス)、『野蛮人の読書術』(飛鳥新社)、『頭に来てもアホとは戦うな!』(朝日新聞出版)など多数

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