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著作権保護「死後70年」に延長 いつの間にかの法改正が大問題に?

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吉川明子dot.#アサヒカメラ
福井健策
(ふくい・けんさく)
弁護士、ニューヨーク州弁護士、骨董通り法律事務所For the Arts 代表パートナー。主な著作に『18歳の著作権入門』。日本大学芸術学部客員教授

福井健策 (ふくい・けんさく) 弁護士、ニューヨーク州弁護士、骨董通り法律事務所For the Arts 代表パートナー。主な著作に『18歳の著作権入門』。日本大学芸術学部客員教授

 昨年から今年にかけて、著作権法改正案に関連して全面的なダウンロード違法化について大騒ぎになった一方で、昨年末に美術、文芸、音楽作品の著作権保護期間が現行の50年から70年に延長されたことをご存じだろうか?

 福井弁護士は言う。

「ダウンロード違法化よりも、こちらのほうが大きな問題かもしれません。なぜなら保護期間が延長されたことで、未来永劫われわれに影響し続けるからです」

 著作権とは、著作物(自分の考えや感情を創作的に表現したもの)を、独占的に使える権利のこと。人格的な利益を保護する著作者人格権と、財産的な利益を保護する著作財産権に大別できる(121ページ表参照)。著作者人格権は著作者だけが持つ権利で、譲渡や相続はできない。著作財産権は一部または全部を第三者に譲渡したり、相続させたりすることができ、著作者の死後50年間は保護されていた。これがこの度、70年に延長されたのだ。

 ディズニーに代表されるように、コンテンツ大国であるアメリカにとっては、輸出先の保護期間が延びれば、その分、使用料収入も見込めるため、環太平洋経済連携協定(TPP)の交渉の席で日本などに延長を求めていた。

 ところが、そのアメリカ自体がTPP交渉から途中離脱し、延長は加盟国の義務ではなくなってしまう。にもかかわらず、日本はTPP関連法案の一項目に延長を盛り込み、国会でさほど議論されることなく、あっさりと可決成立してしまったのだ。

「ただでさえ古い作品は権利者が不明なことが多く、利用の許可が取りづらい。また、不明なまま使うと権利侵害リスクがある。死後50年でさえそういうことが生じているのだから、下手に延長すれば使えないものが増えるだけ。一部のコンテンツは別にして、期間延長によって著作者の子や孫の収入が増えるかといえば、実際には死後50年もたてば収入はほぼありません」(福井弁護士)

 もちろん、保護期間を70年とする欧米とようやく足並みがそろい、子孫までしっかりと受け継がれることになったことを大歓迎する声もある。


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