まさに紆余曲折、様々なことが起こる野球人生

 PL学園から01年ドラフト3位でロッテ入団、03年には二軍のフレッシュオールスターでMVP受賞。着実に成長した今江のブレークは日本一になった05年だろう。日本シリーズで8打席連続安打、シリーズ打率.667と新記録を達成してシリーズMVPを受賞した。再び日本一になった10年も打率.444などの活躍で2度目の日本シリーズMVP。大舞台に強い選手として球史に名を刻んだのは間違いない。

「自分でも怖いくらい。振ったら安打になるというか、ある種、神がかっていたと思う。これだけの年俸をもらっているというプライドもある。また評価してもらっているということへの感謝も伝えたかった」

 謙虚さや周囲への感謝を決して忘れないが、強い自尊心も持つ。チームに貢献するための立ち位置がわかり、リーダーの資質も備わっている。そういう部分がチーム関係者、ファンにも伝わるから、誰もが付いていく。

 しかし華やかな活躍とともに、プレースタイルの影響なのか、死球などでケガや故障にも悩まされた。

「周囲の人には本当に申し訳ないけど、こればかりはしょうがないと思うしかない。自分のプレーをした結果だし……。とにかく1日でも早く復帰したいだけ」

「感覚は少しずつ良くなっていけば良いかな。現状、目に関しては完治したかどうかはわからない。だからうまく付き合っていくしかない。次に同じ症状が出た時に、今回のことも活かしてうまく対処していければ、という思いもある」

 開幕から好調を維持するチームを離れ、二軍で黙々と汗を流した。

■「自力」と「他力」の間で戦ういい人、ゴリ

 これまで数多く体験してきた栄光と挫折、喜びと悔しさ。「ローラーコースターのようだ」と言葉では簡単に形容はできる。しかし当人にとって、それらと向き合うことは並大抵のことではない。

「自力」とは己の才能、努力、実力などか……。ならば「他力」とは自分ではどうしようもできないもの、運や巡り合わせなどがそうか……。今江の野球人生は、そういった「自力」と「他力」の間でもがき続けているように見える。

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高校時代には悲しい出来事も