■福原愛(卓球)

 小さい頃から“天才卓球少女・愛ちゃん”としてお茶の間に登場し、多くの日本人に愛された。幼少の時には、負けた悔しさから涙してしまう、“泣き虫少女”の印象も強い。その天才スポーツ少女だった福原は順調に成長し、オリンピックには2度出場。2012年(平成24年)のロンドン五輪では女子団体で日本卓球史上初となる銀メダルを獲得すると、リオ五輪でも団体で2大会連続のメダルとなる銅メダルを獲得。また、シングルスでは4位とメダルまであと一歩のところまで迫った。

 日本代表として戦う傍ら、卓球の本場・中国リーグにも参戦。その愛らしいビジュアルも相まって、中国でも人気プレイヤーとなった。もちろん中国以上に日本では愛されるアスリートの一人だった。子供の頃から知る福原が世界を舞台にし、見た目とギャップある闘争心溢れるプレーで戦う姿は、時に感慨深くもあった。

■吉田沙保里(レスリング)

 日本のスポーツ史上で、これほどまでに圧倒的な強さを誇ったアスリートは吉田のほかに存在しないのではないか。女子レスリング個人で世界大会16連覇、公式戦206連勝をしたほか、オリンピックでは、2004年(平成16年)のアテネ、2008年(平成20年)の北京、2012年(平成24年)のロンドンを3連覇し、「霊長類最強女子」としてレスリング界に君臨し続けた。

 相手を寄せ付けないパフォーマンスで金メダルを“当たり前”のように日本に持ち帰ってくる様子は、本当に頼もしかった。しかし、最も印象に残っているシーンと言えば、最強の名を欲しいままにした吉田が、人目をはばからず涙したリオ五輪の決勝後ではないだろうか。4連覇を期待されて臨んだ吉田は、決勝でまさかの敗退。試合後に「日本選手の主将として金メダルを取らないといけないところだったのに……ごめんなさい」と何度も謝罪をする姿は、国を背負って戦うことの重大さを感じさせると同時に、それまでの三連覇の凄さを改めて認識させてくれた。

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女子テニス界のパイオニア