霜降り明星が牽引する「お笑い第七世代」は、令和の“笑い”の主役になれるのか? (2/2) 〈dot.〉|AERA dot. (アエラドット)

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霜降り明星が牽引する「お笑い第七世代」は、令和の“笑い”の主役になれるのか?

連載「道理で笑える ラリー遠田」

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せいや(左)と粗品のコンビ、霜降り明星 (c)朝日新聞社

せいや(左)と粗品のコンビ、霜降り明星 (c)朝日新聞社

 ところが、2018年に入ってから、この状況が変わりつつある。『R-1ぐらんぷり』優勝の濱田祐太郎、『ABCお笑いグランプリ』優勝のファイヤーサンダー、『キングオブコント』優勝のハナコなど、20代が中心の若い芸人がコンテストで続々と頭角を現してきた。また、バラエティでも、宮下草薙、四千頭身など、若い世代の活躍が目立ってきた。

 極めつけは、2018年に『M-1グランプリ』で優勝した霜降り明星である。霜降り明星の粗品はそのわずか3カ月後、ピン芸人として『R-1ぐらんぷり2019』でも優勝を果たし、前人未到の二冠を達成した。

 お笑い第七世代の芸人の特徴は、物心ついた頃からインターネットが身近にあったデジタルネイティブ世代であり、お笑い以外の文化にも幅広い関心を持っているということだ。

 具体的に言うと、上の世代の芸人と比べて、地上波テレビを絶対視するような意識が薄く、ユーチューバー的なものにも偏見を持っていない人が多い。

 現在、一人暮らしをしている大学生の中には、テレビを持っていない人が多いと言われている。これは一昔前であれば考えられなかったことだ。娯楽が少ない時代には、テレビは情報源としても暇つぶしの道具としても若者に不可欠なものだった。だが、今はそうではない。「芸人はテレビを目指すのが当たり前」という常識は彼らには通用しない。実際に芸人の活躍の場はどんどん広がっていて、もはやテレビだけが絶対的な存在ではない。新しい時代に適応できる可能性が高いのは彼らの方だろう。

 笑いの優等生である霜降り明星の2人は、決して上の世代の芸人に無闇に噛み付くような真似はしない。だが、彼らは取材などでも「同世代の芸人で新しいものを作っていきたい」などということをたびたび語っている。また、芸人だけではなく「同世代のミュージシャンやユーチューバーとも一緒に何か仕掛けていきたい」とも言っていた。自分たちの世代で世の中を盛り上げていきたいという気概があるのは頼もしい。

 個人的には、「お笑い第七世代」という言葉が少しずつ広まっている状況はお笑い界にとって好ましいことだと思う。言葉が先に広がることで、新しい世代の芸人への世間の関心が高まり、それが実際に世の中を動かす可能性もあるからだ。いつの時代も新しい文化を背負って立つのは若者である。平成の次の令和は彼らの時代になるはずだ。(ラリー遠田)


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ラリー遠田

ラリー遠田(らりー・とおだ)/作家・ライター、お笑い評論家。お笑いやテレビに関する評論、執筆、イベント企画などを手掛ける。『イロモンガール』(白泉社)の漫画原作、『とんねるずと「めちゃイケ」の終わり<ポスト平成>のテレビバラエティ論』 (イースト新書)、『なぜ、とんねるずとダウンタウンは仲が悪いと言われるのか?』(コア新書)など著書多数。近著は『教養としての平成お笑い史』(ディスカヴァー携書)。http://owa-writer.com/

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