スガシカオが語る村上春樹の教え「誰にも真似のできない『文体』を身につける」 (2/4) 〈dot.〉|AERA dot. (アエラドット)

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スガシカオが語る村上春樹の教え「誰にも真似のできない『文体』を身につける」

連載「LOVE YOU LIVE!」

神舘和典dot.#神舘和典
村上春樹との交流によって自分の文体を強く意識するようになった。若い世代のシンガーソングライターにも、それを伝えている。

村上春樹との交流によって自分の文体を強く意識するようになった。若い世代のシンガーソングライターにも、それを伝えている。

4月17日にリリースされる『労働なんかしないで 光合成だけで生きたい』(スピードスター・レコード)。全10曲。かつて一緒に「Progress」を生んだバンドkokua、コラボレートしたラッパーMummy-D、ファンクバンドShikao & The Family Sugarとも1曲ずつ共演。写真はDVD(MV8曲と本人が語るアルバム制作エピソード映像)付き初回限定盤。

4月17日にリリースされる『労働なんかしないで 光合成だけで生きたい』(スピードスター・レコード)。全10曲。かつて一緒に「Progress」を生んだバンドkokua、コラボレートしたラッパーMummy-D、ファンクバンドShikao & The Family Sugarとも1曲ずつ共演。写真はDVD(MV8曲と本人が語るアルバム制作エピソード映像)付き初回限定盤。

4月27日からコンサートツアー「SUGA SHIKAO TOUR 2019 ~労働なんかしないで 光合成だけで生きたい~」をスタート。全国13都市15公演を予定。
http://www.sugashikao.jp/official.php

4月27日からコンサートツアー「SUGA SHIKAO TOUR 2019 ~労働なんかしないで 光合成だけで生きたい~」をスタート。全国13都市15公演を予定。 http://www.sugashikao.jp/official.php

 その思いつきが、ありふれた生活を描くという発想になった。そしてできた曲が、恋人と花火の大輪を見る夏を歌った曲「スターマイン」だった。

「前作の呪縛が解かれて『スターマイン』が生まれてからは、その1曲が引き金となるように次々と曲ができていきました」

 どの曲も短編小説のような仕上がり。物語があり、景色が見える。特にアルバムのラスト4曲「スターマイン」「黄昏ギター」「マッシュポテト&ハッシュポテト」「深夜、国道沿いにて」は2度と取り戻せない時間や時代が歌われ、胸が苦しくなる。

「ドラマティックな出来事もなく物語をつくることは、初めての試みです。デビューしてから20年、僕はすっと自分の内面と向き合って曲を書いてきました。心の深いところにある醜さや性的な欲求についてです。凌辱するような行為を歌った『イジメテミタイ』やテレフォンセックスを歌った『38分15秒』のような猥褻なテーマの曲を歌っても下品にならないことが僕の持ち味で、リスナーも受け入れてくれていました。今回そういう手法を使うことなく曲を書くのは、必殺技を禁じられた格闘家になったような気分です」

 こうして「スターマイン」以降次々と曲をつくっていったスガだが、あと1曲というところまできて最後の苦しみが待っていた。

「早朝に出かける彼女を見送る『am 5:00』という曲が難産でした。ジャズのジョー・パスのようなギターで歌うバラードです。メロディも演奏もシンプルなので、つい歌詞をドラマティックにしたくなります。書き過ぎてしまいます。でも、それはこのアルバムにふさわしくありません。歌詞を書いては捨て、書いては捨て。煮詰まって、深夜、ふだんはクルマで移動する仕事場から自宅まで、毎日10キロの道のりを2時間くらいかけて歩きました。iPhoneのアプリを見て、毎回違う道を選んで、すれ違う人の表情や通りがかりのアパートから出てくる人からイマジネーションを膨らませていったんです」


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