シーズン開幕を前に二軍降格となった阪神・藤浪晋太郎投手 (c)朝日新聞社
シーズン開幕を前に二軍降格となった阪神・藤浪晋太郎投手 (c)朝日新聞社

 藤浪晋太郎(阪神)が苦しんでいる。今シーズンはサイドスロー気味にフォームを改造するなど再起に向けた取り組みを行っているものの、今のところめぼしい成果は見られず、3月12日の対中日戦で4回4四死球と相変わらずの制球難を露呈してシーズン開幕を前に二軍降格となった。

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 その惨状を受け、かつての輝きを取り戻すためには思い切ってトレードするべきだという声も多数聞かれる。そこで、今回はそんな藤浪を獲得するべき球団と、阪神がその交換要員として狙いたい選手について考えてみたいと思う。

 プロ入りから数年間の活躍を見ると、やはり藤浪の役割は先発が妥当と言える。現時点で考えられるローテーションの顔ぶれを見た時に、先発が不足している球団はセ・リーグならヤクルト、中日、パ・リーグなら西武オリックス楽天あたりになるだろう。

 ヤクルトは小川泰弘、ブキャナンに次ぐ候補である原樹理、星知弥の調子が上がらず、ベテランの石川雅規、寺原隼人などを入れてもまだまだ手薄な状況。中日は大野雄大に復活の兆しが見られるのはプラス要因だが、若手に故障が続出しており、まだまだ世代交代が進んでいない。西武は菊池雄星、オリックスは西勇輝と金子弌大の抜けた穴が大きく、楽天も若手の伸び悩みに加えてエースの則本昂大が右肘の手術で前半戦絶望の見込みだ。これらの球団であれば、多少主力を放出しても藤浪が獲得できるならと考えても不思議はないだろう。

 では、逆に阪神の補強ポイントはどのあたりになるだろうか。真っ先に狙いたいのは長打が期待できる野手だ。昨年のチーム本塁打数85本はリーグワースト。1位が16本の糸井嘉男、2位が14本の福留孝介という大ベテランであり、新外国人も昨年のロサリオの例を見ると過度な期待はかけづらく、上位浮上のために長打力のある選手は必要不可欠だろう。
 もう一つの補強ポイントはリリーフ投手。抑えのドリス、新外国人のジョンソンはいるものの、それ以外は桑原謙太朗、藤川球児、能見篤史とベテラン揃いで、これ以上の上積みは考えづらい。一人でも力のあるリリーフを補強しておきたいところだ。

 以上のような事情を鑑みて、藤浪のトレード相手として妥当な選手を各球団から選出すると下記のような顔ぶれとなった。

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西尾典文

西尾典文

西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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