そして、最も両チームにとって魅力的な選択がオリックスのT-岡田だ。2010年に33本塁打でホームラン王に輝き、通算169本塁打を誇るが、なかなか成績が安定しないままプロ14年目を迎えている。今シーズンのオープン戦でも完全なレギュラーという立場ではなく、同じ左のスラッガーである吉田正尚の成長もあって、チーム内での存在感は年々薄くなっている。しかし、長打力は間違いなくプロでも一級品であり、1年間中軸として固定して起用すればシーズン30本塁打を期待できるだけの力はまだまだあるだろう。藤浪も若手の多いオリックス投手陣の中で生き返る可能性も高いように見える。

 藤浪の年齢と実績を考えると、今シーズン実際にトレードが行われる可能性は決して高いものではないだろう。しかし、現時点の藤浪と阪神のチーム事情を考えると、トレードも決して悪い策のようには考えられない。近年、大型トレードが減っており、旬を逃したまま引退、戦力外となる選手が少なくないことを考えると、もっと積極的にトレードを仕掛けるチームがあった方が良いのではないだろうか。果たして阪神のフロントがどう動くか。その英断に期待したい。(文・西尾典文)

●プロフィール
西尾典文
1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行っている。

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西尾典文

西尾典文

西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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