軟式で150キロをマークし注目を集める森木大智
軟式で150キロをマークし注目を集める森木大智

 今月29日のシーズン開幕に向けていよいよオープン戦も本格化してきたプロ野球。中でも150キロを優に超えるスピードを披露している甲斐野央(ソフトバンク1位)、安打を量産している近本光司(阪神1位)、高校卒とは思えないプレーを見せている小園海斗(広島1位)など新人選手の活躍は大きな話題となる時期である。そしてルーキーが注目されるのはプロ野球界だけではない。今年は高校球界にも早くも注目を集めているルーキーがいるのだ。それが森木大智(高知・投手・右投)である。

 中高一貫の高知中学に在籍し、3年時にはエースとして全日本少年春季軟式野球大会、全国中学校軟式野球大会の春夏の全国大会で優勝。8月2日の四国総体決勝では中学生としては異例となる最速150キロもマークしたのだ。この快挙にメディアも殺到。報道ステーション(テレビ朝日)、S☆1(TBS)、Going! Sports&News (日本テレビ)などでも既に森木の特集が放送されている。ちなみに森木はリトルシニアやボーイズリーグではなく、中学校の部活動チームに所属していたため、使用しているのは軟式球。硬式よりも柔らかく、リリースでボールがつぶれてしまうためスピードは出づらいと言われている。そんなボールで150キロを記録しているところも凄さを伝える一因となるだろう。

 ちなみに森木の体のサイズは昨年夏の時点で183cm、78kg。中学生の中に一人だけ高校生が混ざっているように見えるが、もちろんそれは体格だけではない。森木のピッチングは残念ながら映像でしか見ることができていないが、左足を高く上げてもバランスが崩れず、スムーズに肘を高く上げて投げ下ろすフォームに大きな欠点は見当たらない。そして実際にピッチングを見た人が口を揃えて言うのが変化球のレベルの高さだ。緩いボールではまだ腕の振りが弱くなるものの、スライダーではしっかり腕が振れており、打者の手元で鋭く変化している様子は映像からも十分に伝わってくる。投手としての総合力は、既に高校生のドラフト候補と比較するくらいのレベルにあると言えるだろう。

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西尾典文

西尾典文

西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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