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古賀茂明「自己都合忖度が蔓延する霞が関を理解してない野党への提言」

連載「政官財の罪と罰」

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古賀茂明dot.#古賀茂明#安倍政権
著者:古賀茂明(こが・しげあき)/1955年、長崎県生まれ。東京大学法学部卒業後、旧通産省(経済産業省)入省。国家公務員制度改革推進本部審議官、中小企業庁経営支援部長などを経て2011年退官、改革派官僚で「改革はするが戦争はしない」フォーラム4提唱者。元報道ステーションコメンテーター。最新刊『日本中枢の狂謀』(講談社)、『国家の共謀』(角川新書)。「シナプス 古賀茂明サロン」主催

著者:古賀茂明(こが・しげあき)/1955年、長崎県生まれ。東京大学法学部卒業後、旧通産省(経済産業省)入省。国家公務員制度改革推進本部審議官、中小企業庁経営支援部長などを経て2011年退官、改革派官僚で「改革はするが戦争はしない」フォーラム4提唱者。元報道ステーションコメンテーター。最新刊『日本中枢の狂謀』(講談社)、『国家の共謀』(角川新書)。「シナプス 古賀茂明サロン」主催

安倍政権に自己都合忖度する霞が関 (c)朝日新聞社

安倍政権に自己都合忖度する霞が関 (c)朝日新聞社

 3月2日未明、2019年度予算案が衆議院を通過した。憲法第60条2項により参議院が30日以内に議決しなければ、衆議院の議決が国会の議決とされることが決まっているので、年度内に予算が成立することが事実上決まった。

 これまでの与野党の論戦は、厚生労働省の毎月勤労統計の不正問題を除いては、全く盛り上がりに欠けるものとなった。統計不正問題については、様々な問題が指摘されているが、残念ながら、必ずしも問題の本質をついた議論にはなっていない。

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 この問題の中で特に重要な論点はどこかということを列挙すれば、次の五つだと考えられる。

(1)2003年から04年にかけて、毎月勤労統計における東京都の大規模事業所に関する調査で、厚労省の現場が秘密裏に全数調査を抽出調査に変更し、しかも、それについて正しい復元処理を怠った。

 本件一連の不正の中でも核心的部分である。これによって、賃金の実態を示すはずの毎勤統計において、現実の賃金水準よりも低い水準の賃金統計が公表され続け、その結果、この統計を基にして算出される雇用保険などの給付金が過少になっていた。困っている人が本来もらえるはずの金額をちゃんともらえていなかったという実害が生じたのだ。

 このため、過少となっていた金額を受給者に追加給付するための予算が必要となり、政府は、一度提出した予算案の修正という異例の事態に追い込まれた。

(2)この不正について、17年までの間、現場が問題を認識しながら、その公表や修正を行わなかった。

 これにより、過少給付となる被害者の数延べ2000万人超、必要な追加給付額約600億円と被害が拡大した。しかも古いものは資料の散逸により、被害者と正確な被害額の特定すらできないという事態を招いている。

(3)17年11月ごろ、この問題を初めて幹部が明確に認識した時に、これを公表し修正を行わなかった。さらに、18年にようやく本来行うべき復元を始め、それによって賃金の伸び率が高く出てしまうこととなったにもかかわらず、そのことについて、公表せず、アベノミクスで賃金が上がっているという誤ったメッセージを国民に発してしまった。

(4)18年12月にこの問題が厚労省官房の幹部に認識された後も、直ちに問題を公表せず、大臣への報告も遅らせ、なお問題の隠ぺいを行おうとした。

(5)特別監察委員会により第三者性を有する組織で検証を行うと言いながら、実際は厚労省事務方のお手盛り調査を実施し、1回目の報告書を1週間弱で提出し、異常なスピードで処分まで行って幕引きを図った。さらに、これに対する批判に応えて実施された再調査においても、組織的隠ぺいがあると認定できる十分な証拠が揃っているにもかかわらず、組織的隠ぺいを認定しなかった。

(1)と(2)は、不正の根幹であり、課長クラスまでの現場で行われていた問題、(3)~(5)は、直近の幹部クラスによる隠ぺい問題である。


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