その2人と同じ東京五輪世代の中山雄太がオランダのズウォレ、板倉滉がマンチェスター・シティ(イングランド)経由で堂安と同じフローニンゲン(オランダ)にレンタルされることが、アジアカップ期間中に決まった。板倉のマンチェスターC行きは日本サッカー関係者に衝撃を与えるビッグニュースに他ならない。これまでアーセン・ベンゲル氏の存在によって稲本、宮市亮、浅野拓磨がアーセナルに赴いた例はあったが、今のマンチェスターCはプレミアリーグ・ナンバーワンクラブと言ってもいい位置づけ。そこに未知数の日本人若手選手が引き抜かれるとは想像をはるかに超えた出来事だった。

 彼らが欧州でコンスタントに試合に出るようになれば、瞬く間にA代表に入ってくるだろう。現在のユース代表の安部裕葵や久保建英なども海外移籍予備軍と位置付けられていて、今後はそういう流れがどんどん増えるのではないか。むしろ、これからは「海外で実績を積んでいないとA代表に入れない」という時代が訪れそうだ。となれば、代表合宿を欧州で実施したり、日本とは異なる拠点を現地に設けるなどの工夫も必要になってくるかもしれない。

 まさに新時代を迎えつつある日本代表。森保監督がJリーグ開幕戦を視察せずに渡欧した通り、アジアカップを終えた今後はさらなる海外組の若手抜擢に踏み切る可能性も高い。カタール戦のようにスタメン全員が海外組という状況も当たり前になるかもしれない。日本人有力選手の海外行きが当たり前になった今、代表強化をどう進めていくのか。その術を本気で模索すべき時期に来ているのは間違いないだろう。(文・元川悦子)