西武が浅村栄斗、菊池雄星(マリナーズ移籍)と投打の柱が抜け、一方で楽天にその浅村が加入、ロッテは新人の藤原恭大、2年目の安田尚憲、4年目の平沢大河ら若手野手の台頭でチームが活気づいている。金子のいる日本ハムも戦力が充実、ソフトバンクの巨大戦力も健在だが、昨季の下位チームの底上げが目立つだけに、今季のパは混戦必至だ。

 オリックスは1996年の日本一を最後に「12球団で最も優勝から遠ざかっているチーム」でもある。昨季までの10シーズンを見ても、Aクラスは1度だけ。Bクラス9度のうち、最下位も3度。長き低迷からなかなか抜け出すことができない。

 それだけに、かつてのエース・金子を、ともに戦ったチームメートたちが打ちのめし、開幕ダッシュの勢いをつけたい。その中心には、やはりT-岡田がいなければならない。

「9年前。もう一回、ですよね。頑張ります」

 この男が“真の復活”を遂げれば、今季のオリックスはきっと、面白い存在になる。(文・喜瀬雅則)

●プロフィール
喜瀬雅則
1967年、神戸生まれの神戸育ち。関西学院大卒。サンケイスポーツ~産経新聞で野球担当22年。その間、阪神、近鉄、オリックス、中日、ソフトバンク、アマ野球の担当を歴任。産経夕刊の連載「独立リーグの現状」で2011年度ミズノスポーツライター賞優秀賞受賞。2016年1月、独立L高知のユニークな球団戦略を描いた初著書「牛を飼う球団」(小学館)出版。産経新聞社退社後の2017年8月からフリーのスポーツライターとして野球取材をメーンに活動中。