「バッティングって、完成形がないから難しいですよね。人それぞれで違うし、極端に言えば、一日一日、体の感じでも違ってくるじゃないですか? 今年は体の方も順調ですし、一日一日、課題は見つかりますけど、それを一つずつ、クリアしていかないといけない。地道にやらないと」

 2月17日、紅白戦。

 紅組の「5番・一塁」でスタメン出場した第1打席は2回、若きエース候補、23歳の山岡泰輔の前に空振り三振、4回の第2打席は、ヤクルトを自由契約になり、テスト入団した33歳の左腕・成瀬善久の118キロのスライダーに空振り三振。しかし、7回の第3打席。ルーキー・荒西祐大から右前打。キャンプ中盤で疲労もたまってくる時期ながらも、きちんと修正しての“1本”に、地道な積み重ねの成果が垣間見えた。

 金子弌大(千尋から変更)が日本ハム、西勇輝が阪神へ移籍。2枚のエースが不在となった今季、打線への“比重”はどうしても高くなる。打って、カバーしなければならない。その使命感は強い。

「本音を言えば、2人で250から300イニングは毎年投げてくれていた。それがパッと抜けたら、それをカバーするのは単純に考えても難しい。でも、山岡とかがもっとしっかりしてくれば、全然変わってきますよ。野手も競争が激しいですから。決まっているのは正尚くらいでしょ。危機感? もちろんですよ。ロメロ、マレーロ、新外国人(ジョーイ・メネセス)。そこで一塁とDHでしょ。そうなると、僕もなかなかね。でも周りをあまり気にせず、自分のことです」

 年齢を重ね、生え抜き選手として、オリックスを支えてきた。だからこそ「優勝したいんですよね」。苦しい道のりなのは分かっている。開幕2戦目で、日本ハムは先発に金子を起用することをキャンプ中に発表した。話題作りの面もあるが、早くから“ケンカ”をふっかけられては、やっぱり黙ってはいられない。

「やりにくさとか、別にないですよ。でも守っていても、すごい、すごいって、みんな言うんですよね。一塁に来たら(日本ハムの中田)翔とか『あのチェンジアップ、エグいっすよ。打てんッス』って。どんなボールを投げてくるのか、打席に立ってみたいと思っていたんです。そういう楽しみもあります」

次のページ
今季のパは混戦必至