巨人から西武入りした内海哲也のロスが拡がる (c)朝日新聞社
巨人から西武入りした内海哲也のロスが拡がる (c)朝日新聞社
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怒りの矛先はFA移籍した炭谷銀仁朗にも… (c)朝日新聞社
怒りの矛先はFA移籍した炭谷銀仁朗にも… (c)朝日新聞社

「チームの顔」の電撃移籍に巨人ファンのショックが癒えない。FA移籍した炭谷銀仁朗の人的補償で西武入りしたのは内海哲也だった。左腕エースとして6度のリーグ制覇、2度の日本一に貢献。2011、12年に2年連続最多勝を獲得するなど第2次原政権の中心投手だった。明るい性格と周囲への細やかな気配りでナインの人望も厚かった。特別な選手として応援し続けてきたファンも多いだけに衝撃も大きい。「内海がいなくなるなんて…このオフは大型補強したけど喜びが吹っ飛んだ」「巨人ファンを続けられないかも…人的補償で出すなんてひどすぎる」と悲痛な叫びがSNSに殺到した。

【怒りの矛先はFA移籍した炭谷銀仁朗にも…】

 チーム事情を考えれば、内海をプロテクト枠から外したのは苦渋の決断だっただろう。先発左腕は17年13勝とブレークした田口麗斗、18年は若手の今村信貴、メルセデスが頭角を現し、今季5勝に終わったベテランの内海は優先順位が低くなっていた。西武移籍は内海にとっても野球人生の大きなプラスに働く可能性がある。エース菊池雄星のメジャー挑戦で左の先発がコマ不足の中、登板機会のチャンスも巨人より増えるだろう。パ・リーグの野球を経験することで、将来指導者になった時の大きな財産になる。

 ただ、巨人ファンは生え抜きの功労者の扱いに割り切れない思いがある。右肩痛で最近2年間では数試合しか実戦登板していない37歳の岩隈久志を獲得し、入団以来15年間巨人一筋の36歳の内海が退団した。「これは補強になっているの?」と疑問を呈する声も多い。怒りの矛先は思わぬ方向に向いている。内海が人的補償で西武移籍のニュースが流れると、「炭谷いらないから内海返してください」「丸の人的補償ならともかく炭谷でしょ?西武の3番手捕手はいらない」と炭谷獲得を疑問視する書き込みが目立った。

 炭谷に非はまったくない。だが、シーズンで結果を出せなければ西武在籍時とは比べられないほどの批判の声が耳に入ってくるだろう。大きな重圧と闘うのは、巨人にFA移籍した選手の宿命でもある。炭谷と内海。複雑な感情を胸に秘め、来季は野球人生の特別な年になるだろう。(今中洋介)