「共通テスト」では、国語の論述問題の採点方法、英語の民間試験の活用が問題になっている(写真/getty images)
「共通テスト」では、国語の論述問題の採点方法、英語の民間試験の活用が問題になっている(写真/getty images)

 大学入試改革に伴い、これまでの大学入試センター試験に代わり、2020年度から「大学入学共通テスト」が実施される。その特徴と受験生に求められる能力とは。AERAムック「国公立大学 by AERA 2019」(朝日新聞出版)から抜粋してお届けする。

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 2020年度、国立大学の入試制度が大きく変わる。その時期が間違えやすいので整理しておくと、21年1月に「大学入学共通テスト」(以下、「共通テスト」)が、2月以降に各大学で「個別入試」が行われる。つまり、新制度は21年4月の大学入学者から適用されるので、現在(18年時点)の高校1年生が対象となる。

 現行の入試制度に例えると、「共通テスト」がセンター試験、「個別入試」が2次試験ということになる。「共通テスト」は、「国語」「地理歴史」「公民」「数学」「理科」「外国語」の6教科30科目から選択して、受験する。

■「共通テスト」では記述式問題も出題

 これまでの試験とはどう違うのか。

 文部科学省は、これまでのセンター試験や2次試験に見られる知識偏重型、1点刻みでの選考方法では、将来さらに多様化、グローバル化する社会に対応する人材が育たないという認識を持つようになった。そこで思考力、判断力、表現力を問う新しいテストが必要だと考え、これらの能力を総合的に判断する「共通テスト」を設計した。

「共通テスト」には二つの特徴がある。一つは一部の科目で記述式問題が課せられること。20年度からまず国語と数学で導入し、24年度以降は地理歴史・公民や理科分野にも広げる予定となっている。17年11月に実施された試行調査(プレテスト)では、国語で80~120 字の論述問題が出題された。

 もう一つの特徴は、英語科目で4技能(読む・聞く・話す・書く)が評価されることだ。英語のコミュニケーション能力を重視する観点から、従来のセンター試験で評価していた「読む」「聞く」に、「話す」「書く」を加えた。そのため、文科省は4技能評価を行っている民間の資格・検定試験(以下、民間試験)を活用する政策を打ち出した。「ケンブリッジ英語検定」「TOEFL iBT」「TOEIC L&R/S&W」「TEAP」「実用英語技能検定」などの試験である。

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