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年収を抜かれた妻に海外勤務と言われ、キレた40代夫が抱くコンプレックスの深層心理

連載「男と女の処世術」

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西澤寿樹dot.#働き方#夫婦#結婚
夫婦の年収が逆転することで、関係を見直さなければいけないケースもある(※写真はイメージ)

夫婦の年収が逆転することで、関係を見直さなければいけないケースもある(※写真はイメージ)

 秀則さんに「どうお感じになりますか?」とお聞きしましたら、

「自分の年を考えたら、子どものことを考えなければいけないのに、何を考えているんだ、と思いますね」

とおっしゃいました。間髪を入れず奈津子さんは

「馬鹿じゃないの! もう何年もすることしてないんだから、できるわけないでしょ!」

と言いました。うっすら涙を浮かべているようにも見えます。

 夫の秀則さんは、自分は進歩的な人間だと自認しているので、妻がフルタイムで働くことも容認して、夕飯を作ってくれないのもギリギリ我慢してきたのですが、さすがに海外勤務といわれてキレてしまったようです。

 少なくとも奈津子さんから見たお二人の関係は、協調ではなくて競争になってしまっています。そして、努力の末、本社からの評価と夫に勝つ年収を手に入れた奈津子さんですが、夫婦の関係でも欲しいものを得た、とはいきませんでした。

 そのことを指摘すると、奈津子さんは

「私はどうすればよかったんですか?」

と泣き崩れてしまいました。"競争に勝てばうまくいく"というのは、苦しいとき無意識のうちに逃げ込んでしまいがちなファンタジーです。相手と競争したいのか、協調したいのか。それによってかかわり方はおのずと違います。本当は協調したいのに、競争を仕掛けたらうまくいかなくなるに決まっています。

 何回か面接を繰り返して、もう少し、お二人の話を丁寧に聞いていくと、夫の秀則さんは、奈津子さんに複雑な気持ちを持っていることがわかってきました。

 秀則さんは、地方のごく普通の家庭で育ちました。父親がいわゆる亭主関白で、母親が長男である自分に父親の愚痴を言うので、それを聞くのが嫌であるのと同時に、母親をかわいそうにも思っていました。母親は話の最後にいつも「私は学がないし仕事もできないから、ここにいるしかないのよ」と言い、自分は父親のように女性を下に見るようにはなりたくない、と思っていました。だから、妻が夜中まで働くことも「許してきた」のだそうです。


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