最新主演映画「泣き虫しょったんの奇跡」では棋士役、2月公開映画「羊の木」(錦戸亮主演)では平気で人を次々殺す配送業者役。将棋にしろ殺人にしろ、メガネをかけず、その道をまっすぐに進む。

 役の振れ幅が広いのはメガネをかけてない時で、もしかしたら松田は挑戦度が高い役柄の時はメガネをかけないのかなあ、などと勝手に想像している。だから私は、松田がメガネをかけている作品は比較的気楽な気持ちで、かけていない作品はどちらかといえば緊張気味で見る。

 そんなわけで「獣になれないーー」はこれからも、ビールを片手に楽しみに待っている所存だ。ということで終わりにしてもよいのだが、最後に、「日本メガネベストドレッサー賞」について。

 ワイドショーなどで授賞式の映像が流れるので、ご存知の方も多いと思う。<「メガネの最も似合う人、今後メガネをかけてほしい人を表彰する賞」として31年の歴史を誇っています>とうたっていて、「文化人部門」や「芸能界部門(女性)」や「芸能界部門(男性)」などがある。「(男性)」をこの3年に限って振り返ると、又吉直樹→及川光博→高橋一生とメガネ感のない人ばかり選ばれている。

 という指摘がけっこうあったせいだろうか、10月22日が授賞式の2018年版から「芸能界部門」は男女別でなく1つに統合され、豊川悦司が選ばれていた。

 「半分、青い。」の秋風羽織役でずっとサングラスをかけていたから、高橋一生より違和感はないが、松田の方がずっと似合うことは火を見るよりも明らかだ。

 つまり何が言いたいかというと、「松田龍平さんは、すっごくメガネが似合う」ということと、「メガネをかけた松田さん、好き」の2点なのだった。終了。(矢部万紀子

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矢部万紀子

矢部万紀子

矢部万紀子(やべまきこ)/1961年三重県生まれ/横浜育ち。コラムニスト。1983年朝日新聞社に入社、宇都宮支局、学芸部を経て「AERA」、経済部、「週刊朝日」に所属。週刊朝日で担当した松本人志著『遺書』『松本』がミリオンセラーに。「AERA」編集長代理、書籍編集部長をつとめ、2011年退社。同年シニア女性誌「いきいき(現「ハルメク」)」編集長に。2017年に(株)ハルメクを退社、フリーに。著書に『朝ドラには働く女子の本音が詰まってる』『美智子さまという奇跡』『雅子さまの笑顔』。

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