それだけに、選手のパフォーマンスもハイレベルだ。阪神戦の先発は新潟・長谷川凌汰。福井商から龍谷大を経て今年から新潟でプレーする22歳の右腕は、初回に投じた11球のうち5球が150キロと大台を連発しての大アピールに始まると、5回に登板した20歳の右腕、武蔵・小沼健太は188センチの長身から投げ下ろすストレートとキレのある変化球で、わずか9球で三者凡退。8回に登板した富山・菅谷潤哉は今季11セーブでリーグ2位。帝塚山大を経てBCLでプレーして2年目の23歳だが、この日登板した8投手の中でも最速となる152キロを披露しての三者凡退。また野手陣でも、今季35盗塁でリーグ盗塁王に輝いた新潟の外野手・菊地悠人が1安打2盗塁をマーク。北海道教育大岩見沢から入団した1年目の22歳は売り物の俊足で大アピールした。

 翌日のオリックス戦も9投手が1イニングずつマウンドへ上がった。「スカウトの人たちが、お目当ての選手を見たら帰ってしまわないように、いい投手は後の方に置いておきました」と村山代表。その中でスカウト陣の注目が集まっていたのが7回に登板した武蔵・安河内駿介。本の強豪・秀岳館高で「3番手投手でした」という24歳の右腕は、東京国際大時代に右肩を痛め、大学3年時からの2年間は「ほぼ幽霊部員でした」と言う。故郷の福岡県内で就職も決まっていたが、懸命の治療で右肩の痛みが治まると、野球への情熱が再びわき起こり、内定を辞退。アルバイトをしながら福岡の実家近くで独自の練習を行い、昨秋のBCLトライアウトに合格して武蔵にドラフト1巡目指名を受けて入団した。

 今季は「この1年にかけるつもりで」とリリーフを中心に38試合に登板し、今回は阪神、オリックス戦ともに登板して計2回で2安打1失点。スカウト陣からは好評価の声が聞こえてきたが、「ここに選ばれるのは当たり前、通過点と考えていました。もっといいアピールをしたかったので、この結果は悔しい」と振り返った。

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野手で光った選手は…