BCLも米国で外国人選手を対象にトライアウトを開催したことがあり、そうした経験も踏まえて、村山代表の発案から日本版の「SHOWCASE」を昨年に初開催した。ドラフト前に選抜チームを結成し、NPB球団との交流戦を設定する形を取ったのだ。今年も、まず関東で2試合、9月20日にヤクルト戦(戸田)、同21日にDeNA戦(ベイスターズ※雨天中止)を組み、関西では10月2日に兵庫・鳴尾浜で阪神戦を行い、翌3日に大阪・舞洲へ場所を移してオリックス戦を組んだ。2日は投手8人、捕手2人、内野手4人、外野手4人が参加、翌3日には投手、捕手が1人ずつ増えた。

 NPB各球団も複数のスカウトがネット裏に陣取り、ターゲットとする選手たちの実力を最終チェック。担当外のスカウトや編成部門のトップが視察に訪れたのは、指名候補リストに残っている他の選手との比較を行うためのものだ。

 村山代表は「メンバーを選ぶと、各球団から『ウチの選手の方が、この選手より上』とか、いろいろと注文が入って大変なんですよ」と、その舞台裏を明かしながら思わず苦笑いする。ただそれだけ“見本市”の舞台は重要視されているというわけだ。昨年、BCLからは本指名、育成指名で計6選手がドラフト指名を受けているが、その6選手はいずれもこの選抜チーム入りを果たしている。ここがプロ入りへの最終関門ともいえるのだ。

 現在、BCLは北信越を中心とした10球団で構成されているが、関東、関西への遠征は交通費や宿泊費の負担も大きい。独立リーグの選手のサラリーは月10万程度。しかも、シーズン中の半年間しか出ず、オフはアルバイトをするのが通例で、親からの仕送りを受けてプレーしている選手すらいるという。それだけにNPB入りは目標というだけでなく、自らの生活、さらには人生の懸かった死活問題となる。

 昨年はこの遠征に伴う日当はなし。「それでも出たいという選手がほとんどだったんですが、それではちょっと大変だろうと、今年は捻出しました」とBCLの小松原鉄平事務局長は申し訳なさそうに明かしたが、それでも今年の日当は選手が所属する球団の本拠地にかかわらず、選手一人あたり1日5千円。移動費、食事代、宿泊費を考えれば足りず、今回の遠征参加は選手たちの持ち出しになるのだが「選手たちはここに出るのが一つの目標になっているみたいです」と小松原事務局長は言う。要は、お金の問題ではなく、むしろ金を払ってでも出たいというわけだ。

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ハイレベルな選手たちがずらり…