新天地『news zero』で硬さが目立つ有働アナ (c)朝日新聞社
新天地『news zero』で硬さが目立つ有働アナ (c)朝日新聞社
タモリとマツコの愛のある「いじり」 (c)朝日新聞社
タモリとマツコの愛のある「いじり」 (c)朝日新聞社

 秋はテレビの改編期である。新しく始まる番組もあれば、内容がリニューアルされる番組もある。中でも今期、最も注目を集めている番組の1つが日本テレビの『news zero』である。今年3月にNHKを退職してフリーになった有働由美子アナが、10月からメインキャスターを務めることになったからだ。

【タモリとマツコの愛のある「いじり」】

 有働は長年にわたってNHKの朝の情報番組『あさイチ』のキャスターを務め、飾らないキャラクターで主婦層を中心に不動の人気を誇ってきた。そんな彼女がフリーに転身して、最初に選んだ勝負の場が『news zero』だった。

 初出演となる10月1日放送回の冒頭、有働は1人で登場して決意表明を述べた。しかし、緊張しているのか、話し方はぎこちなく、しどろもどろになっていた。結局、番組の最後までこの堅苦しさは抜けていなかった。

『news zero』の直後に放送された『月曜から夜ふかし』にも有働がゲストとして生出演していた。ここでは、有働と同じ事務所に所属するマツコ・デラックスが、彼女に対して愛のある「イジり」を仕掛けていた。「メイクを取るとオオサンショウウオみたい」と軽くジャブを浴びせ、50歳近くでフリーになるのは珍しいと指摘。マツコはそのことを「遅咲きの狂い咲き」と表現していた。

 また、有働をメインキャスターに迎えて内容も一新された『news zero』に対しても、スタジオのモニターやワイプ画面がすべて円形であることについて「丸が多すぎる」と一刀両断。それを聞いた有働が「私にはすごいみんな『評判いいですよ』って言ってました)」と首をかしげると、マツコはすかさず「誰も信じるな。資本主義ってそういうことだからな」と吐き捨てた。マツコは、民放が「資本主義」であるのに対して、有働が今までいたNHKは「社会主義」である、と語った。NHKを出て民放に挑む有働は「亡命」してきたようなものだと言い放った。

 翌日10月2日の『news zero』では、特別企画としてタモリと有働の対談が行われていた。タモリは、新天地でどう振る舞うべきか悩んでいる有働に対して、「そのままでいいんじゃないですか」「民放もNHKもテレビは同じですから」と自然体を貫くようにアドバイスしていた。

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ラリー遠田

ラリー遠田

ラリー遠田(らりー・とおだ)/作家・お笑い評論家。お笑いやテレビに関する評論、執筆、イベント企画などを手掛ける。『イロモンガール』(白泉社)の漫画原作、『教養としての平成お笑い史』(ディスカヴァー携書)、『とんねるずと「めちゃイケ」の終わり<ポスト平成>のテレビバラエティ論』 (イースト新書)など著書多数。近著は『お笑い世代論 ドリフから霜降り明星まで』(光文社新書)。http://owa-writer.com/

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