ロッテ・福浦和也 (c)朝日新聞社
ロッテ・福浦和也 (c)朝日新聞社

 千葉ロッテが誇る至宝、福浦和也がついに2000本安打を達成した。今回は、それを記念して「プロ野球B級ニュース事件簿」シリーズ(日刊スポーツ出版)の著者であるライターの久保田龍雄氏に、福浦にまつわる“B級ニュース”を振り返ってもらった。「祝・2000本安打達成!福浦和也編」である。

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 “福浦和也記念日”とも言うべきメモリアルデーがある。背番号「9」にちなんだ9月9日だ。伝説の始まりは、2013年9月9日の西武戦(QVCマリン)だった。

 2対2の7回1死二塁、荻野貴司の代打として打席に立った福浦は、岡本洋介の外角高め直球を逆らわず左前に運び、決勝点を叩き出す。さらに細谷圭の左越え二塁打で1点を加えたロッテは、4対3で逃げ切った。

 前日は先発・古谷拓哉が2回4失点KOされる劣勢も、降雨ノーゲームで命拾い。志願して連投のマウンドに上がり、7回を2失点に抑えた古谷に、自らのバットで勝ち星をプレゼントした福浦は「(試合は流れても)ツキは流れていなかった」とニンマリ。そして言った。

「9月9日だったから、打てたのかな?」

 これだけなら、単なる偶然の一致だが、翌14年9月9日の西武戦(同)で新たなる“9・9伝説”が生まれる。

 勝利目前の9回に森友哉の2ランで逆転されたロッテはその裏、今江敏晃(現年晶)の左越えソロで追いつく。そして、2対2の延長11回1死一、二塁、井上晴哉の代打・福浦が告げられた。増田達至の144キロ直球に「詰まった」と言いながらも、中越えにサヨナラのタイムリー二塁打。3試合連続完封負けを喫したチームの連敗を「3」で止め、負ければ最下位のピンチを救った。

 試合後、「最下位はダメ。応援してくれるファンのためにも」と語気を強めた福浦は、「9月9日だから、打たせてくれたのかな?」と、1年前と同じセリフを再び口にした。

 今年9月9日の西武戦(メットライフドーム)でも、約3年半ぶりとなる本塁打を放ち、2千本安打まであと「5」とした。

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久保田龍雄

久保田龍雄

久保田龍雄/1960年生まれ。東京都出身。中央大学文学部卒業後、地方紙の記者を経て独立。プロアマ問わず野球を中心に執筆活動を展開している。きめの細かいデータと史実に基づいた考察には定評がある。

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