入団4年目の1997年7月5日のオリックス戦(千葉マリン)で1軍デビューをはたした福浦は、4回にプロ初安打となる中前安打を記録。さらに同15日の日本ハム戦(同)では延長11回にサヨナラ打、8月1日の西武戦(同)ではプロ1号と、デビューから1ヵ月足らずで3つもの記念ボールを手にした。

 そんな福浦がマリン特有の強風のなか、ライトから吹き戻されてきた飛球を好捕したのに、小宮山悟から怒られるという“事件”が起きたのも、この年だった。

 「18連敗の真実 なぜ千葉ロッテマリーンズは負け続けたのか?」(萩原晴一郎著、竹書房)によれば、オリックス戦でニールが打ち上げたフライを必死に追って何とかキャッチした福浦が「やった、捕った!」と喜んでいたら、マウンドで小宮山がぶち切れていた。一塁走者のイチローも「はっちゃく(愛称)、どうした?何で怒られてんの?」と首を捻ったという。

 いつ行われた試合か、「千葉マリン」「一飛」「小宮山」「一塁走者・イチロー」をキーワードに調べたところ、同年9月27日のオリックス戦が該当した。ただし、フライを打ち上げたのは、ニールではなく、ドネルスである。

 3対3の7回、オリックスは1死から2番イチローが右前安打で出塁し、ドネルスが一邪飛に倒れた。そして、2死一塁で、前の打席でタイムリーを放っている4番・ニールを迎えた場面である。

 この日の小宮山の失点は、野選や振り逃げが絡んだ不運なもので、同点のまま終盤に入り、「絶対に点をやれない」状況。なのに、まだ2死で、一瞬たりとも気を抜けないときに、難しいフライを捕ったからといって、バックの野手がホッとしていたら、確かにまずい。小宮山は「プロなら当たり前の顔をして捕れ」と教えたかったようだ。この戒めは、福浦に改めてプロとしての自覚を植え付けたことだろう。

 福浦自身が主役になったわけではないが、抱腹絶倒の珍プレーとして記憶されているのが、2003年6月14日の西武戦(千葉マリン)。

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ボールボーイがまさかの…