規模が4000人以上で8000人未満の大学なら1・2倍まで認められたが、19年度からはすべての大学区分において、入学定員を超えた学生の数に応じて助成金が減額される制度に変わる予定だ。

 それだけではない。学部の新設にかかわる定員充足率も厳格化されてきた。簡単に言うと、既存の学部が定員超過になっていたら、新学部をつくることを認めないという措置である。

 学部新設予定の前年度から過去4年間の平均の、すべての学部を対象とした定員充足率が問われる。16年度時点では大学や学部の規模に関係なく、入学定員の1.3倍未満に収まっていれば認可されたのだが、こちらも17年度から段階的にハードルが上げられてきた。大学・学部の規模によって異なるが、収容定員が4000人以上で学部の入学定員が300人以上の場合は、19年度から1.05倍未満でなければ新学部設置の一つの基準をクリアできない。

 入学定員の超過は大学にとって経営に大きな影響を与えるため、入学者の絞り込みを強めていると言っていいだろう。それだけに、19年度の入試は楽観できないのである。

■好景気による私大文系の志願者増が難化に拍車

 こうした「厳格化」の目的は、入学定員を守ることで大学教育の質を保証することにある。

 それだけでなく、大都市圏への集中を緩和し、「地方創生」を図ろうという目的もある。実際に「地方大学振興法」が18年5月に成立。東京23区内では大学の定員増加や学部・学科の新設が10年間禁じられることになった。

 現在、大学入学者の4人に1人が東京都に集中しており、これを抑制することで地方の活性化を図る狙いだが、その効果は未知数だ。こうした縛りが強められることで、東京23区内の大学の門は急に狭くなってきた。

 それに加え、私大文系受験者の増加が難化に拍車をかけた。大学受験の世界では、景気が悪くなると就職に強い理系人気に、景気がよくなると文系人気に傾くことが知られている。

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狭くなった私大文系学部の門前