大学の出口である就職環境は今や「売り手市場」といわれるほど好転したが、逆に大学の入り口は狭くなってきた。特に私立大学の文系は併願校が全滅というケースもあるという。アエラムック「就職力で選ぶ大学2019」の取材で、大学入試が難化している理由を探った。
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「ここ2、3年の都市部の私立大学合格者数の絞り込みが予想以上にすさまじく、入試の難化が顕著です」
と話すのは、ベネッセコーポレーション学校カンパニー教育情報センター長の渡邉慧信さんだ。
「理系学部は変わりないが、私大文系の入試が極端に難化してきた」という。例えば進研模試の偏差値60台前半の受験生がMARCH(明治大、青山学院大、立教大、中央大、法政大)の文系学部を受験した際の合格率で比較すると、3年前は37%だったのが、2018年度の入試では19%。つまり、3人に1人は合格できたところが、5人に1人程度にダウンしてしまったのだ。同じく偏差値50台前半の受験生による日東駒専(日本大、東洋大、駒澤大、専修大)の文系学部の合格率も、46%から27%に低下。2人に1人から4人に1人程度に減った計算だ。「想定以上の難化に、大学のレベルを下げて受けたにもかかわらず、併願校まで全滅したケースもあると聞いています」(渡邉さん)
少子化により18年度には18歳人口が一段と減少し、定員割れの私立大学が4割にものぼる。なのに、どうして入試がこれほど難しくなったのだろうか。
その大きな原因は、文部科学省が進めてきた「入学定員管理厳格化」にある。
本来、大学が入学定員を守るのは当然のこと。だが、私立大学では複数校を受験した合格者が別の大学に流れてしまう可能性がある。これまではそれを見越して、入学定員を上回る合格者を出してきていたが、その基準が段階的に厳しくなってきたのだ。
■大学の門を狭くした二つの縛り
例えば収容定員(卒業するまでの年限に在学する総学生数)が8000人以上の大規模大学では、15年度は入学定員の1・2倍、18年度は1・1倍を超えると助成金 (私立大学等経常費補助金)カットというペナルティーが科される。