王貞治にしか打てない“凡打” 推定飛距離115メートルのショートフライ (1/3) 〈dot.〉|AERA dot. (アエラドット)

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王貞治にしか打てない“凡打” 推定飛距離115メートルのショートフライ

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久保田龍雄dot.

1972年、日本シリーズで阪急を破り、8連覇を達成し胴上げされる巨人の川上哲治監督  (c)朝日新聞社

1972年、日本シリーズで阪急を破り、8連覇を達成し胴上げされる巨人の川上哲治監督  (c)朝日新聞社

 2018年シーズンも終盤戦に差し掛かり、ペナントの行方が気になる今日この頃だが、懐かしいプロ野球のニュースも求める方も少なくない。こうした要望にお応えすべく、「プロ野球B級ニュース事件簿」シリーズ(日刊スポーツ出版)の著者であるライターの久保田龍雄氏に、現役時代に数々の伝説を残したプロ野球OBにまつわる“B級ニュース”を振り返ってもらった。今回は「奇策に立ち向かう王貞治編」だ。

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 プロ野球史上最も有名な奇策“王シフト”が初めて登場したのは、1964年5月5日の広島vs巨人(後楽園)。ダブルヘッダーの第1試合の1回2死、3番・王貞治が打席に入ると、広島・白石勝巳監督は、右半分に野手6人を集めるという変則シフトを敷いた。

 三塁手はショート定位置のすぐ左、遊撃手は二塁ベースの右側、二塁手は一塁ベース寄り、一塁手は右翼線ギリギリ、外野の3人ももちろん右寄りに守っていた。

 王の打球がライト方向に多く飛ぶことから、レフト方向をがら空きにする極端なシフトで対抗したのだ。

 だが、王はこの試合こそ4打数無安打に終わったが、第2試合では7回にバックスクリーン右に同点弾を放ち、「何人守っていようが、頭の上を越せばホームランになるんだ」の信念を貫く。

 もっとも、白石監督は「王ほどの打者にどんなシフトを敷いたって役に立たないよ」と割り切っており、「一本足打法の王が(シフトを意識して)流し打ちをすれば、タイミングが崩れ、本来のフォームを取り戻すまでに1カ月ぐらいかかる」というのが真の狙いだった。

 その後も王シフトは継続され、本来なら一、二塁間を抜ける当たりが遊ゴロになったり、ピッチャー返しのヒットコースが凡打になる場面も多く見られた。

 そして、王がついにシフトの逆をつく珍打を見せたのが、7月15日の広島戦(後楽園)。

 ダブルヘッダーの第2試合、巨人打線は大石清に4回までパーフェクトに抑えられ、手も足も出ない。0対5で迎えた5回、先頭打者の王は「なんとか悪い流れを変えたい」一心で三塁側にセーフティバントを試みた。



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