本誌の取材に答え、「売られたケンカは買う」と宣言した山根会長
本誌の取材に答え、「売られたケンカは買う」と宣言した山根会長
1999年11月9日に撮影された組長との写真
1999年11月9日に撮影された組長との写真
いまにし・のりゆき/1966年、大阪府生まれ。大阪を拠点に週刊誌や月刊誌の取材を手掛ける。著作に「私は無実です 検察と闘った厚労省官僚 村木厚子の445日」「福島原発の真実 最高幹部の独白」(ともに朝日新聞出版)
いまにし・のりゆき/1966年、大阪府生まれ。大阪を拠点に週刊誌や月刊誌の取材を手掛ける。著作に「私は無実です 検察と闘った厚労省官僚 村木厚子の445日」「福島原発の真実 最高幹部の独白」(ともに朝日新聞出版)

 助成金の流用、不正審判問題の告発騒動で、辞任表明した日本ボクシング連盟の山根明会長(78)。

【写真】約20年前に撮影された「黒い交際」はこちら

 だが、8月8日の記者会見では「辞任する」とだけ一方的に語り、どう辞めるのか、は一切、説明していなかった。山根会長は本誌の取材にこう宣言していた。

「連盟の終身会長、理事は辞めますが、これからもアマチュアボクシングとの関係は変わりません」

 アマチュアボクシンに関与してゆくことを宣言したのだが、山根会長のこの姿勢が「新たな火種」となっている。

 8日の辞任表明後、山根会長はしばらくマスコミから姿を消した。

 しかし、その間、なんと8月に大阪で開催される、アマチュアボクシンの大会の打ち合わせに参加していたというのだ。その大会は、15歳以下の子供たちを対象にした「全日本UJ(小学校・中学校)ボクシング王座決定戦」というもの。

「子供たちから見れば、野球でいう夏の甲子園のような大会」(関西ボクシング連盟の関係者)

 ボクシング関係者によれば、山根会長は関西ボクシング連盟の会長という立場も有しており、その肩書で参加したという。

 子供たちは、日本ボクシング連盟主催の大会に出場した場合、高校に進学しても高校総体など、大きな大会に参加できる。だが、プロボクシング主催の大会に出場した場合、高校では高校総体には参加できないという。

「これはプロと確執がある山根会長が、アマチュアボクシン連盟の力を誇示するがために昨年からはじめた制度。それだけに、思い入れが強く打ち合わせに参加したそうです」(前出・ボクシング連盟関係者)

 席上、山根会長は特段、目立った発言はなかったそうだ。しかし、山根会長を「告発」している日本ボクシングを再興する会のメンバーの1人はこう訴える。

「日本ボクシング連盟の会長、理事は辞めても関西ボクシング連盟の会長は辞めないということになってしまう。これでは意味がない。関西を束ねて、権力基盤を確立してまた理事に復帰ということも考えられる。この大会は子供たちのもの。暴力団との関係を認めた山根会長の関与は絶対に認めることができない」

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今西憲之

今西憲之

大阪府生まれのジャーナリスト。大阪を拠点に週刊誌や月刊誌の取材を手がける。「週刊朝日」記者歴は30年以上。政治、社会などを中心にジャンルを問わず広くニュースを発信する。

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「売られたケンカは買いますよ」と宣言