佐藤二朗「後輩たちに唯一見せることができる僕の背中は…」 (1/2) 〈dot.〉|AERA dot. (アエラドット)

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佐藤二朗「後輩たちに唯一見せることができる僕の背中は…」

連載「こんな大人でも大丈夫?」

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佐藤二朗dot.#佐藤二朗

佐藤二朗(さとう・じろう)/1969年、愛知県生まれ。俳優、脚本家。ドラマ「勇者ヨシヒコ」シリーズの仏役や「幼獣マメシバ」シリーズで芝二郎役など個性的な役で人気を集める。ツイッターの投稿をまとめた著書『のれんをくぐると、佐藤二朗』(山下書店)のほか、96年に旗揚げした演劇ユニット「ちからわざ」では脚本・出演を手がける

佐藤二朗(さとう・じろう)/1969年、愛知県生まれ。俳優、脚本家。ドラマ「勇者ヨシヒコ」シリーズの仏役や「幼獣マメシバ」シリーズで芝二郎役など個性的な役で人気を集める。ツイッターの投稿をまとめた著書『のれんをくぐると、佐藤二朗』(山下書店)のほか、96年に旗揚げした演劇ユニット「ちからわざ」では脚本・出演を手がける

生まれて初めてのミュージカルの出演を決めた理由とは(イメージ写真)

生まれて初めてのミュージカルの出演を決めた理由とは(イメージ写真)

 個性派俳優、佐藤二朗さんによる「AERA dot.」の新連載「こんな大人でも大丈夫?」。日々の仕事や生活の中で感じているジローイズムをお届けします。

*  *  *
 先日、初めて、劇団四季の公演を観た。前々から「一度はしっかりと観ておきたい」と思っていたのだが、諸々のタイミングがなかなか合わなかった。ようやく生まれて初めて四季公演のチケットを取った9日後、浅利慶太さんの訃報に触れた。

 数カ月前、古い友人と呑んだ。知り合った時は共に20代で、食えるようになるかまるで分からぬ将来への不安やら希望やらで、ウジウジモヤモヤしてたように思う。あれから21年。友人・青木豪は、いまや日本を代表する劇作家・演出家の1人になった。互いに50歳近辺のオッサンになっても、まだこの世界で生きていられることに感慨を持ちつつ、豪さんとゆったりと杯を交わしていた。

「じろちゃん、俺、今度さ、四季の演出をすることになったよ」。豪さんの言葉に、ほろ酔いの自分の耳を疑った。いやだって、四季! まだ観たことないけど、そして一度はしっかりと観ておきたいと思っているけど、いやいや、四季を演出するなんて凄いことだし、そもそも四季が外部から演出家を招くなんてあるの? いろいろな思いが頭をよぎり、1人勝手に興奮していると、「えらいことになったけどさ、とにかく俺、頑張るよ」と多少赤らんだ顔で豪さんは笑った。その時、絶対に観に行こうと思い、絶対に成功させてほしいと思った。

 聞けば四季が外部から演出家を招くのは50年振りという。演目は「恋におちたシェイクスピア」。観劇当日、自分が関わってる訳でもないのに、朝からソワソワしてしまい、幕が上がる直前にはおかしなくらい手のひらに汗をかいていた。

 面白かった。正直言うと、すごく面白かった。僕は、これまた正直に告白すると、舞台美術とか脚本の構成とか筋のうねりとか、そういうことはよく分からない。役者の芝居。この一点のみ。そこしか分からないし、そこにのみ興味が湧く。そしてそこが、凄く面白かった。隅々まで気持ちの行き届いた多種多様なキャラクターたちに劇団員の層の厚さを感じ、観る者を選ばない優しく誠実な芝居や、時に抑制的で、時に自由な役者たちの芝居に、しばし心を奪われた。


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